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2020導入事例

川崎重工業株式会社 (導入:TIS株式会社)

SAP S/4HANA化に伴う
対応ボリューム・人的リソースを
セキュアなアセスメントで解析
リソースを高精度に可視化

保守サポートの終了対策と、業務改革の一環としてDX を進める川崎重工業はSAP S/4HANA に移行することを決定した。その工数や必要なIT 投資を調査、評価するために選んだのは、機密性が高く、セキュアなTIS のサービスだという。


 導入前の課題

  • SAP S/4HANA へのマイグレーションに関する大規模なIT 投資について、対応ボリューム、必要な人的リソースを割り出すのは困難

 導入後のメリット

  • SAP S/4HANA へ移行するための工数を定量的予測し、必要なIT 投資を高精度で推測。結果的にマイグレーションを全社レベルでの合意に導く


🔸保守終了への対応とDX の推進 S/4HANA へのマイグレーション

航空機・鉄道車両やモーターサイクルをはじめ、「陸・海・空」さらには宇宙まで幅広く事業を展開する総合エンジニアリングメーカー、川崎重工業。 同社では、稼働中のSAP ERP 6.0 の保守サポートが2025 年末に終了(2020年2 月 SAP 社は保守サポートの延長を発表)することを受け、2018 年より対応策の検討を開始した。この時点での川崎重工業グループにおけるERP の導入状況を、馬場氏は次のように説明する。

「1997 年に初めてSAP R/3 を人事システムとして導入しました。その後、会計システムを導入し、SAP ERP 6.0 へのマイグレーションを経て、2011 年からは固定資産システムへも用途を拡大。海外7 拠点でも導入され、グローバルで計12 のインスタンスが稼働しています」。 対応策の検討において、ともに協議をおこなった川崎重工業グループのSlerであるベニックソリューション倉本氏はこう振り返る。 「S/4HANA へのマイグレーションか、新規構築、あるいは他製品への移行など、あらゆる可能性について検討しました」。

ちょうど同じ頃、川崎重工業では業務改革の一環として、デジタルトランスフォーメーション(DX)を進めていくことを計画。これを踏まえ、SAP S/4HANA(以下 S/4HANA)を中核に捉えてシステム全体の最適化を行うことが最も現実的な選択と判断、S/4 HANAへのマイグレーションが当面の目標と定められた。 S/4HANA へのマイグレーションには、大規模なIT 投資が伴うと見込まれるものの、その対応ボリュームおよび必要となる人的リソースを割り出すアセスメントは困難が予想された。そこで、既に導入やマイグレーションといったノウハウを持つSIer の知見を活用することに決定、そこで選ばれたのが以前より取引関係があったTIS だ。決め手となったのは、セキュアかつ安全なアセスメントが可能で、広いスコープを自動診断できる「S/4HANA アセスメントサービス」の存在があったからだ。


馬場 裕之氏 川崎重工業株式会社 技術開発本部 IT 戦略・ 企画推進センター IT アーキテクチャ企画部 IT システム課 主事

 

🔸約4,800 本のアドオンを個別解析 セキュアなアセスメントサービス

ここで、TIS のS/4HANA アセスメントサービスについて解説しよう。このサービスは一般的なアセスメントサービスにはない大きな特徴を持っている。それがセキュアなアセスメントだ。TIS 独自の方法により、データやプログラムといった、高い機密性が求められる経営情報や情報資産を、社外に持ち出すことなくアセスメントを実現することができるのだ。

この特徴について、ベニックソリューションの石原氏は「川崎重工業は防衛省との取引などで、特に厳格な機密性が求められます。ERP のデータを社外へ持ち出すことなく、グループ内に閉じたネットワーク環境で検証を行うので、安全面で申し分がありませんでした」と語っている。 なお、TIS についての印象も採用に至った理由の一つだ。ベニックソリューションの八木氏は「TIS 氏は技術力が高く、要望へ臨機応変できる会社という信頼感がありました。本件に続き、海外8拠点のアセスメントも控えており、中長期のパートナーとして期待しました」と語る。

それではここで、2018 年から実際に開始されたアセスメントサービスについて見てみよう。 アセスメントは、TIS のメンバーが川崎重工業の環境でERP にアクセスして調査を実施する方法を取る。アドオンの構文を確認し、改修の有無や程度を確認するとともに、標準機能で代替できるか否かも1 点ずつ検証したという。また、アセスメントに利用するTIS のツールは、広範囲に自動診断できるため、川崎重工業の業務知識に長けたエキスパートを、代替案の検討や課題解決案の提案といった、コンサルティング業務に専念してもらうことも実現した。 課題となったのは、多数存在する既存アドオンの解析だ。約4,800 本の検証には長い期間を要することとなり、S/4HANA アセスメントサービスの標準的な期間に比べ、やや長めとなる約2ヶ月間が解析期間に充てられたという。

また、解析以外の部分についても、TIS の知見が活きたと石原氏は語る。「SAP ERP 導入企業のうち、どの程度の割合がマイグレーション計画に着手しているのか。まだSIerの業界が共有できていない貴重な情報をTIS から提供してもらい、アセスメント後の計画策定で大いに参考になりました」。 さらに、アセスメント工程の終盤にもTIS の経験が活きたという。S/4HANAで必要なメモリサイジングについて、石原氏は「SAP 標準のツールで解析した結果をTIS が独自フォーマットに落とし込んでくれた。ポイントがつかみやすく、きめ細かな配慮を感じました」と、経験や知見に加え、配慮という点にも大きな評価をしている。


倉本 淳司氏 ベニックソリューション株式会社 取締役(管理本部、IT 基盤本部、ソリューション本部担当) 兼 事業戦略企画室長 兼 ソリューション本部長

 

🔸全社レベルで移行の合意を得たTIS のアセスメントサービス

アセスメントは2018 年10 月に完了、アセスメントレポートにより、Unicode化に要する工数や、S/4HANA へ移行するための工数が定量的に予測でき必要なIT 投資を高精度で推測できたという。 このレポートを踏まえ、S/4HANA への移行プランを経営会議に提示。馬場氏は「どれだけの対応が伴い、どの程度の予算が必要なのか。経営層に具体的な根拠を示しつつ、S/4HANA はDX 推進のエンジン役となる意義を説明。全社レベルでの合意に至りました」と語る。そしてこの意思決定を受け、2020 年4 月より、S/4HANA へのマイグレーション対応を開始した。

この実績から、TIS は海外拠点(北米3、アジア2、ヨーロッパ2)のS/4HANA移行アセスメントも手がけ、最終報告を含めた一連の作業は2020 年1 月末で完了している。 川崎重工業の馬場氏は、TIS への期待を次のように語った。「TIS は当社グループとの長いお付き合いで、業務内容や文化をよく理解していただいています。べニックソリューションとの協業体制をさらに強めて、ERP 以外の領域でも支援いただければと思います」。




会社概要 川崎重工業株式会社 設立:1896年10月15日 資本金:1044億8400万円(2020年3月31日現在) 連結売上高:1兆6413億3500万円(2020年3月期) 連結従業員数:36,332人(2020年3月31日現在) 事業内容:船舶、鉄道車両、航空機、モーターサイクル、ガスタービンなど



🔸パートナー企業

TIS株式会社





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