Fit to Standardを徹底するアプローチで
業務、システム、データを標準化し
生産性向上とデジタル基盤の構築を実現
企業変革の基盤づくりを目指しSaaS型ERP導入の先駆者に
「Create a Beautiful Tomorrow Together」をグループ企業理念として掲げる株式会社シグマクシス(以下、シグマクシス)は、2008年の設立以降、知見とネットワークを武器に数々の企業のトランスフォーメーションを推進するコンサルティングファームです。基幹システムの変革においては、「Fit to Standard」を徹底したSaaS型ERPの導入による業務・システム・データの標準化を早期から提唱し、実績を残してきました。難度が高いと言われるこの手法で基幹システム刷新に取り組むのはなぜか。同領域の先駆者とも言えるシグマクシスが考える「Why SaaS?」「Why Fit to Standard?」に迫ります。
SaaS型ERPの主要なソリューションである「SAP S/4HANA Cloud」がSAP社から初めて登場したのは、2016年3月のこと。以来、SAP社はグローバル規模でパブリッククラウドERPソリューションへの注力を徐々に強化しており、時代の潮流は着実にSaaS型ERPへとシフトしています。シグマクシスは、国内ではかなり早期であった2018年から、SaaS型ERPを柱とした企業の基幹システムのトランスフォーメーションに取り組んできました。
例えば2018年10月には、先端技術の開発やソリューション提供を行うNNTアドバンステクノロジ株式会社(以下、NTT-AT)による、「SAP S/4HANA Cloud, multi-tenant edition」の導入プロジェクトを支援。約800本ものアドオンが存在し、維持が困難になっていた同社の旧基幹システムの移行を、Fit to Standardを徹底しながら6ヶ月で完遂しました。また、2020年9月には、国内3法人の統合直後であったSOLIZE株式会社の、ノンカスタマイズでの「SAP S/4HANA Cloud」導入を支援。こちらもプロジェクト開始から9ヶ月という短期間導入を成し遂げ、同社のビジネストランスフォーメーションに向けたデジタル基盤の構築を実現しました。なお、これらのプロジェクトを通じてシグマクシスは、顧客満足度やSAPビジネスへの貢献度が高いパートナー企業に授与される「SAP Award of Excellence」のプロジェクト・アワードを、それぞれ受賞しています(NTT-ATは2020年度、SOLIZEは2022年度)。
SaaS活用により生産性を向上し企業間連携のデジタル基盤を構築する
では、なぜシグマクシスは個社のカスタマイズやアドオン開発を行わずに、Fit To Standardの手法を貫いてSaaS型ERPの導入を推し進めているのか。その理由を「SaaSの活用は企業や産業の変革に大きく貢献し、経営者が手にするものが大きい」と話すのは、同社エンタープライズトランスフォーメーション シェルパでSAP関連ビジネスをリードする安東太輔氏です。
「Fit to Standardによる業務・データの標準化がもたらすメリットのひとつは、業務の生産性向上です。部門間・組織間での業務の一貫性が保たれることでオペレーションの効率性、正確性といった業務品質を向上させるとともに、特定の役職や担当者しか内容が把握できていない『業務の属人化』からの解放を実現します」と、安東氏は説明します。標準化されたデータはERP上で可視化され、経営者は迅速かつ正確に自社のビジネス状況を把握することになります。
加えて注目すべきは、SaaSを介した技術・プロダクトの進化を継続的に享受できること。「昨今、技術的ブレイクスルーによって生成AIなどの新しい機能が次々と登場していますが、SaaS型ERPでは標準として組み込まれるAI機能も増えています。こうした技術は日々進化し、システム内で自動的にアップデートされるのがSaaS型の特徴。Fit to Standardによる標準化が徹底されていれば、追加の開発コストを割かず、新技術や新プロダクトを継続的に自社の業務に取り込むことができるのです。新たなビジネスモデルや法・制度改定などへの対応もSaaS上で行われるため、個社ごとに対応する必要がなくなるのは経営者にとって大きな利点であるはずです」(安東氏)。
標準化により生み出されるのは、企業個社にとっての価値だけではありません。同氏によると、SaaSをプラットフォームとしたデータのやり取りが可能になることから企業間の連携が進み、社会価値の共創が可能となるとのこと。「基幹業務やシステムといった、どの企業においても必要な領域、つまり非競争領域に差別化は不要です。むしろ企業同士が手を取り合って変革を進めることで、高効率かつ持続可能なものになります。SaaS型ERPの導入は、まさにその基盤づくりなのです」(安東氏)。
マネジメントの主体的な参画が決め手となる業務要件リスト不要の徹底した標準化
一方で、日本企業の実態をみてみると、依然としてSaaS型ERPの選択に慎重であったり、「Fit to Standard」の手法により業務を大きく変えることに対する業務現場の抵抗があったりと、海外に比べて大きく遅れています。そうした中シグマクシスでは、次のような手法でFit to Standardを徹底したSaaS型ERP導入を実現しています。
まずは、SaaS型ERP導入の「対象領域の見極め」を行います。たとえば、販売・生産領域などのうちの競争力の源泉となる部分に関しては独自の業務プロセスとシステム機能で差別化を図る必要があるため、SaaS型ERPの外側のアプリケーションとして維持し、ローコード開発などで対応。会計や購買、受注確定後の販売領域といった自社固有になりにくい部分に関しては、Fit To Standardの手法を徹底するなど、標準化の範囲を導入前に明確化するのです。「いずれにしてもアドオン開発は行わない、つまりクリーンコアを維持できる導入であることが大事です」と安東氏は強調します。
導入においては、要件リストを作らずに進めます。これを同社では「真のFit to Standardアプローチ」と呼んでいます。従来のシステム導入で採用されていたFit & Gapの手法では、長い業務要件リストを作成したうえで、業務が標準型と乖離している部分を特定し、アドオン開発などで業務にあわせることが解消することが通例となっていました。シグマクシスの「真のFit to Standardアプローチ」では、要件リストは作らず、あらかじめSaaS型ERPに用意されたシナリオで現状の業務プロセスを点検し、ギャップがあれば標準型へ合わせ込みます。どうしても標準化できないプロセスが発生した場合でも、アドオン開発以外の代替策を検討します。
とはいえ、こうした業務変革では抵抗や混乱がつきものです。そこで重要になるのが、「チェンジ・マネジメント」です。と言っても、業務現場の意見を押さえ込むということではありません。「最初の段階で現場のキーパーソンにERPの実機に触って確認していただくことで、新しい業務イメージをつかむことが可能です。『こうすればできる』といった代替案も現場の皆さんから上がりやすくなりますし、テスト段階のようなプロジェクト後期でのトラブルを回避できます」(安東氏)。
そして安東氏が欠かせないと話すのは、「マネジメントの実質的な参画」。特に業務プロセスやシステムが複雑化した日本企業では、徹底した標準化においては業務担当者では判断できないレベルの変革が必要になります。「このため全社の戦略を理解し業務を俯瞰し意思決定できるマネジメント層の参画が必要不可欠なのです。マネジメントの判断によって変革のスピード感も質も、大きく変わります」(安東氏)。
テクノロジーの進化や価値観の変化によりビジネス環境も刻一刻と変割り続ける中、企業は既存事業の進化と新たな事業の創造への取り組みが求められています。その基盤となる基幹業務・システムの標準化に、Fit to StandardによるSaaS型ERP導入が有効な手段となるはずです。シグマクシスには、SAP S/4HANA Cloud認定資格取得総数は業界トップの222(2024年7月末時点)と、同領域の深い知識と経験を持つプロフェッショナルが多数在籍しています。また、多様な業界の業務知見、チェンジ・マネジメントをはじめとしたプロジェクト・マネジメントの高度なスキルも、導入企業から高く評価されています。基幹業務・システムのトランスフォーメーションについては、ぜひ一度同社にご相談ください。