RISE with SAP を活用した世界規模の企業変革プロジェクトで
「ビジネス・オペレーション変革」を進めるIBM
“変化できるバックオフィス”をSAP ERPとIBM Powerで実現する
ビジネス・オペレーション変革で、変化に対応できるバックオフィスを構築
──IBMが進める「ビジネス・オペレーション変革」は、どのような背景から進められたのか教えてください。
川上:この変革は、IBMが取り組む「 RISE with SAPを活用した世界規模の企業変革プロジェクト」の一つで、当社CEOアービンド・クリシュナが主導するプロジェクトです。
背景には、バックオフィス成長への不安があります。企業が利益を上げ成長を続けると、製品やサービスの成長や変化のペースに、バックオフィスの変化が追いつかないと判断したのです。このため今後もビジネスを前進させていけるよう、企業として徹底的にシンプルになることを目指し、二つのキーワード「単純化(simplify)」と「同期(synchronize)」を軸に進めています。
このプロジェクトにおけるビジネス面での目的は、プロセスの統合や自動化促進による、意思決定のスピード向上です。またテクニカル面では、将来のアップグレードに備えることと、最新技術を容易に取り込める環境作りを目的にしています。
──具体的にどのような取り組みを行っていますか?
川上:RISE with SAP S/4HANA, private edition へのカスタマイズを最小限にし、標準機能を活用する、いわゆるクリーンなコアで利用します。これにより RISE with SAP S/4HANA, private edition のバージョンアップも容易となり、最新機能をすぐに享受できる環境となります。また手作業を自動化する「デジタルワーカー」への置き換えも進めていきます。
さらに、SAPとともに発表した“BREAKTHROUGH with IBM for RISE with SAP, premium supplier option”を、IBM自らが実装し、知見を深めることも大きな目的です。自社での取り組みを通じて、お客様と同じ体験をし、障壁を早く見つけてそれを打破し、真の価値をお客様に提案したいと考えています。
なおこのプロジェクトは世界規模の取り組みのため、各国の規制に合わせるローカライゼーションを担当する「Discovery Team」を作りました。このチームでは、各国における実用最低限のニーズ(Minimal Viable needs)を理解し、これを合理化・簡素化するべく、文書化して展開しています。
BREAKTHROUGH with IBM for RISE with SAP, premium supplier optionとIBM Cloudで変革を実現する
──この変革のスコープは何になりますか?
川上:現在のスコープは、主に案件発掘や入金、記録から分析の予定です。
この変革では、世界120カ国以上、1000の法人、ソフトウェア、ハードウェア、コンサルティング、ファイナンスを支える業務環境を、 RISE with SAP S/4HANA Cloud, private edition に移行します。データ規模も大きく、375TB以上のデータをIBM® Power on Red Hat® Enterprise Linux® on IBM Cloudに移行する予定です。
アプローチは、SAP標準のまま活用する、カスタマイズや複雑化の排除です。さまざまなテクノロジーを活用した徹底的な自動化と、将来におけるアップグレードの時間やコストを削減し、次のアクションや変革を簡単に受け入れられる環境とします。
──BREAKTHROUGH with IBM f or RISE with SAP, premium supplier option のメリットを教えてください。
今野:SAPとの50年以上に渡るパートナーシップから誕生したこのサービスは、SAPとの協業によるコンサルティングやマネージド・サービス、クラウドまでを、SaaS型でトータルに提供できるシンプルさがメリットです。
また、クラウド上での基幹業務を扱うために不可欠な要素である、セキュリティーも高いレベルを確保しています。IBMにはX-Forceというセキュリティー研究機関があり、その知見を活かしたアクセス管理や特権管理、脆弱性管理やエンドポイント、ネットワークのセキュリティー監視など、包括的なセキュリティー対策を実現しています。
移行や導入に必要なアドバイスも、IBMの持つ38,000人以上の高度な訓練を受けたSAPコンサルタントが担当し、もちろん当変革でもサポートしています。運用面もGartnerランキングで第1位を頂いた、アプリケーション運用メンバーが管理、保守のサポートをしています。
こうしたテクノロジーとコンサルティングの専門知識を持つ、両チームが一体となったクラウド環境のサポート体制もメリットの一つです。移行から運用までワンストップで任せられるため、時間短縮を実現し、さらなる変革や重点タスクへの時間を獲得できます。
IBM Powerの持つパフォーマンスと柔軟性そして可用性に強い期待
──この変革でRISE with SAPにIBM Powerを選択された理由を教えてください。
今野:まず圧倒的なパフォーマンスと柔軟性です。最終的に、300以上のSAPインスタンス、500台以上のサーバーの集約と移行を予定しており、メモリーを最大10TBまで拡張できるIBM Powerは、この規模の環境において、重要な観点といえます。SAP HANAのメモリー・サイズを拡張する場合、少しの設定変更で行えることもメリットです。
パフォーマンスは、SAPのSDベンチマークにも現れていて、1コアあたりのSAPS値はX86コアと比べ、2.7倍から4倍の値です。これは意思決定や洞察の活用に必要な、リアルタイム・データアクセスを考えた場合、インメモリーで動作する SAP S/4HANAにおいて重要な要素となります。なおこのパフォーマンスは、パッチ適用や更新、再起動などの時間短縮にも貢献します。
最後に高い可用性です。IBM PowerはITICの調査において、稼働率保証99.999%、13年間サーバー・ランキング連続首位となる実力を持っています。また先に述べた高いセキュリティーや、170以上あるIBM Cloudのサービスと連携できる拡張性も重要なポイントです。
この変革でIBMの基礎体力を上げ、将来の新規事業立ち上げに備える
──最後にIBMの目指すこれからと、DXを目指す企業にメッセージをお願いします。
川上:現在多くの企業がDXに取り組んだり、目指していたりすると思います。一方で、投資対効果を求める声も多く、DXという言葉がバージョンアップできていないと感じています。私たちの取り組みを通じ、新しいDXを一緒に推進させていただければと考えています。
私たちの取り組みは、企業の基礎体力を高めるためであり、この変革を実現して、やっと将来における迅速な変化が可能となります。今やらなければ、将来身動きが取れないことにもなりかねないのです。
もしいま、将来の変革に対応できる環境を構築したいと考えているのであれば、私たちとともに変革にチャレンジしてみませんか?皆様からのお問い合わせをお待ちしております。
今野:川上が言うように、この変革を終えた時点で、ようやくビジネスの変革に対応できるバックオフィス環境と、データ活用の土台が出来上がります。
とかくDXはユーザー対応やAI・クラウド等の技術に着目されがちですが、第二章と言われるDXにおいては、経理・人事・プロセス等の基幹システムを変革し、迅速・柔軟に変化できる環境を作ることで、はじめて将来新規事業や事業変革が可能となります。
私たちは、この変革で経験する社内の体制やガバナンス、テクノロジーの勘所やエコシステムといったノウハウを、お客様に役立てていただけるよう推進しています。ぜひ一緒に変革に取り組みましょう。
導入企業・パートナー企業
日本アイ・ビー・エム株式会社
設立:1937年6月17日
資本金:1,053億円
事業内容:情報システムに関わる製品、サービスの提供