2021活動紹介
株式会社BeeX
クラウド専業インテグレータBeeXがインフラの視点から見た
S/4HANAへの移行方法とプラットフォームの選び方
S/4HANAへの移行を検討した場合、移行方法やプラットフォーム(以下PF)をどう選べばよいのかわからず、先に進めないという企業は少なくありません。今回はBeeXが考える、インフラとBASISという視点から見た選び方のポイントと、いまできる準備について紹介します。
3つのPoints
・コンバージョンや新規構築といった移行方法はDX などを含めて選択
・移行方法はダウンタイムも考慮して選択
・S/4HANA 化はまだ先という場合でも、いまできる準備を進める
🔶インフラとBASISの視点から見たSAP ECC6.0からS/4HANAへの移行
現在SAP ECC6.0 を利用していて、S/4HANAへの移行を検討されているお客様は多いと考えています。実際に移行を考えた場合、どのような移行方法があるのか、またPFをどう選べばよいのでしょうか。
クラウド専業インテグレータであるBeeXが考える、インフラとBASISの視点での選び方をご紹介します。すぐに移行できないというお客様にも重要なポイントとなる「移行前のいまできること」についても、合わせて解説します。
🔶S/4HANA の移行方法、VUCA 時代においての選び方
まずS/4HANAへの移行方法です。1つ目は既存のシステムをコンバージョンする「ブラウンフィールド(以下BrF)」で、既存環境をベースにコンバージョンを行います。2つ目の「グリーンフィールド(以下GrF)」は、S/4HANA環境を新たに構築し、既存環境からデータ移行する方法です。最新のイノベーションに基づいたエンジニアリングと、プロセスの最適化が行えます。実際には、この2つの間でシェルコンバージョンというデータを削除した環境でBrFでシステムは構築しつ、データを必要なものだけ選択して移行する選択的データ移行という方式もあります。
移行方法の選択指標はいくつかございますが、BeeXとしてはDXを推進する基盤の選択と移行時のダウンタイムの2つを指標としています。たとえばBrFの場合、S/4HANAを短期間で導入し、DXはその後に実現する、またはS/4HANA化と切り離し並行して進めるお客様に最適です。GrFでは、SAPテクノロジーを最大限に活用したDXが実現をするお客様におすすめをしています。移行方法は、DXやイノベーションどのように進めるかを考慮し、その上で選択することが大切だと考えます。
選択的データ移行はどのような場合に使えばよいのでしょうか。たとえば既存環境が複数インスタンスで構成され、新環境では1つに結合したい場合や、システム分割したい場合、BrFではできませんが、選択的データ移行なら実現できます。
そして、もっとも重要なポイントは、ダウンタイムの軽減が可能な点です。データ量が多いシステムでも現システムを稼働しながら、データ移行とコンバージョンを差分転送で実施可能なため、ダウンタイムを短くできるのです。
🔶プラットフォームの選択は柔軟性と運用容易性、内製化のバランスで
PFの選択も、S/4HANAへの移行を考えた場合に悩むポイントでしょう。まず3種類のクラウドPFについて紹介します。
1つ目はS/4HANA on Premiseです。on Premiseという名前ですが、いわゆるオンプレだけではなく、AWS/Azure/Google CloudといったIaaS上に導入するのもこちら方式です。自分たちで運用し、開発する方法で、自由度が高いといえます。SAP ERP以外に多くの周辺システムと連携させている場合やデータ統合をクラウドテクノロジーで実施したい、基盤からしっかりと運用したいというお客様には一番だと考えます。
次に2つのS/4HANA Cloudです。まずパブリッククラウドは完全なSaaSです。このため、アップグレードは自動で行われます。反面、自由度はありません。次にRISE with SAPのプライベートクラウドエディションです。SAPがしっかりと運用保守を行ってくれて、アップグレードも行ってもらえます。SaaSとは異なり、これまで利用していた機能を使うことも可能です。
また開発方法の選択も重要です。In-Appでの拡張を行いたい場合、SaaSでは実現できません。この場合サイドバイサイド拡張となります。PFを選ぶ場合に大切なのは、柔軟性(拡張性)と運用容易性・内製化のバランスを見極めて選択することです。
🔶S/4HANA化はまだ先という企業がいま行っておきたい準備とは
S/4HANA化はまだ先という場合でも、いまからできる準備があります。最初に検討していただきたいのは既存環境のクラウド化です。新環境への移行後、既存環境をすぐに捨てられるからです。またクラウド化によって、コンバージョンやデータ移行時に柔軟性が増すため、プロジェクトが圧倒的に効率化できます。
次にEHP/SPSの適用です。まずBrFの場合は、適用を推奨しています。低いバージョンには移行ツールなどにバグもあるため、ぜひ適用してください。
その他IT資産の棚卸しやテストシナリオの整備も重要です。
最後にロードマップの整備とアセスメントです。アセスメントなしにS/4HANA化に進むのは、避けるべきと考えています。かならず事前にアセスメントなりPoCを行っておきましょう。弊社ではロードマップの提供やアセスメントも、お客様の状況や予算に合わせて対応できます。
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