導入事例「株式会社資生堂」

株式会社資生堂
資生堂のグローバル展開を支えるIT基盤
SAP ERPパッケージを活用し「OneModel」を構築
「一瞬も 一生も 美しく」をコーポレート・メッセージとして掲げ、化粧品・トイレタリー商品の製造・販売を行う化粧品事業、理・美容室向け商品の製造・販売を行うプロフェッショナル事業、ヘルスケア事業などを展開する株式会社資生堂(以下、資生堂)は、日本国内およびアジア、欧州、米州などのグローバル・マーケットを対象にビジネスを展開している。

資生堂では、2007年に10年先のあるべき姿を描き、「10年のロードマップ」という経営戦略を定めた。2017年には、売上1兆円超、営業利益率12%超、海外売上比率50%超を実現し、アジアを代表するグローバル・プレイヤーへ飛躍するというものだ。その経営目標の達成を目指し、ITを活用して実現する課題として、業務集約や統合などの業務改革があげられ、これらを実現するための経営基盤として、SAP ERPパッケージを活用したグローバル標準基幹システムの構築がスタートし、「OneModel」と名付けられた。

OneModelは、2010年7月、まず欧州の拠点において稼働が開始され、2011年7月からは中国においても稼働、次いでアジアにも導入が予定されている。資生堂では、このOneModelがグローバルでの業務の標準化と経営の見える化を実現し、さらなるグローバル・ビジネス発展へのドライバーとしての役割を果たすと期待している。

ITはビジネスを変革するドライバー
グローバル全体の経営に寄与する使命

資生堂のグローバル戦略を支えるIT基盤を担うのが情報企画部だが、「10年のロードマップ」という経営戦略の確立に際し、そのミッションも大きく変化した。情報企画部で部長を務める提箸眞賜氏は、その使命の変化を次のように語る。 「それまでの単にシステムを構築・維持するという役割から、ITを活用した業務変革の推進役へと変わりました。すなわち、『情報企画部は、ITの活用を通じてグローバル・レベルの業務改革を推進し、グローバル全体の経営に寄与する使命を持つ』というものです」

しかし、それまでの資生堂のシステムは、ホストをベースにさまざまな業務システムを構築してきた結果、肥大化・複雑化したシステムとなっていた。そして、それを刷新する方法としてERPパッケージの導入が検討された。

「単なるシステムの入れ替えではなく、インフラやITへの投資には、そこに付加価値を生み出すためにどのようなシステムを作っていくべきかという観点が重要です。そこでわれわれは『ITはビジネスを変革するドライバー』であると位置付け、『ITを活用した事業活動支援の強化』と『業務の改革や拡大に貢献するIT基盤整備』という2つの目標を立てました」(提箸氏)。そして、こうした目標を達成するためのERPパッケージを検討した結果、世界中に数万社という豊富な導入実績が決め手となりSAP ERPの採用が決定した。

国内システムの刷新から着手し、次いで欧州、中国、台湾に順次導入

資生堂では、2007年からまず国内システムの刷新に着手し、2008年4月から国内のグループ会社で順次稼働が開始された。そして次のステップとして、グローバルで統一システムを導入し、業務改革と経営の見える化を実現する計画に移った。業務プロセス、データ、システムを標準化してテンプレートを構築し、欧州、中国、台湾に導入し、今後アジアへの導入を計画している。OneModelというテンプレート設計のパートナー選定にあたっては数社によるコンペを行い、各社からの提案を検討した結果、グローバル企業におけるERP導入経験が豊富なIBMに決定した。
「グローバルでERPを導入するという大規模なプロジェクトですので、ソリューションのみならず、プロジェクト推進、管理を含めた支援が必要となり、その点においてもIBMであれば相談に乗ってもらえると思いました」(提箸氏)

グローバル・プロジェクトの課題を3つの取り組みで乗り越える

欧州地域はEUとして1つの地域と見られるが、実際はフランス、ドイツ、イタリア、スペインなど、国によって業務プロセスはさまざまだ。プロジェクトを進めるにあたり、言葉や文化の違いによるコミュニケーションの課題、意思伝達や共有化といったガバナンスの課題やリソース配分の課題などが次々と発生した。こうした課題の解決のため、プロジェクトでは3つの取り組みを行った。
「1つ目は『目的の共有化』で、プロジェクトのゴールを共有し、意思決定のプロセスを明確にしました。2つ目は『方針を作る』ということです。これはOneModel策定時にガイドラインを作り、それを徹底しました。3つ目は『維持・管理』です。システムは作ることが目的ではありませんから、その後の維持や効果の収穫をしっかりと行っていこうというものです」(提箸氏)
こうした取り組みの結果、欧州でのOneModel構築作業は2010年6月までに完了し、2010年7月から稼働が開始されている。

欧州システムとの整合性を確保しながら中国導入プロジェクトを推進

欧州での導入は販売会社のみだったが、中国では販売会社、生産会社、そして生産と販売の両方の機能を併せ持つ製造・販売会社の3社が導入対象となった。そのため中国のプロジェクトでは、欧州で導入したOneModelに生産会社と製造・販売会社が使うための業務プロセス、システム機能の追加が必要だった。また、これら3社に共通する業務については、標準化が重要であったため、3社合同でのプロジェクトを実施した。さらには、既に導入済みの欧州システムとの整合性を確保する必要があり、中国であがった変更要求は欧州への影響も確認するなど、導入プロジェクトと一体となって標準化維持・管理のための活動をしつつ、プロジェクトを推進した。

中国では2011年7月から販売会社、生産会社で稼動しており、製造・販売会社は2012年1月から稼動を開始している。

ビジネス戦略のスピードアップと業務の標準化による人材交流に期待

SAP ERPの導入により、グローバル共通のKPIによる「数字としての見える化」のみならず、グローバルの業務プロセス改革により、「プロセスの見える化」が可能となった。今後IT面では、サーバー、システム運用の統廃合により、運用・管理コストの低減を実現したいと考えている。さらに提箸氏は導入の効果と期待について次のように語る。

「従来も各国から月1回のレポートを取得していましたが、見える化の導入により、標準化したデータかつ同一の指標で、ブランド別やチャネル別など分析粒度の細かい内容でデータを取得することが可能となり、精度が向上しました。また、海外現地法人との共同プロジェクトを通じて、資生堂グループとしての結束を強くできたと認識しております。さらに業務の標準化により、人材交流を促進しやすくなるため、人材の質の均一的向上といった人材育成の観点からの効果も期待できます」

こうして資生堂では、2017年のあるべき姿「10年のロードマップ」実現に向けて着実な前進を続けている。

OneModelをIT戦略の軸にグローバル企業として成長

さらに今後の資生堂グローバル戦略の方向性について提箸氏は次のように語る。
「グローバル戦略で差別化を図っていくためには2つの方向性があります。1つは世界の各地域において、いかに業務の効率化を図り間接コストを抑制していくかということです。そしてもう1つは、スピーディーなシステムの構築です。現在中国での売上増が目覚ましく、また新興国にも拡大しています。従来はシステムを構築するのに1年ぐらい要するということが通例でしたが、OneModelを活用していけば、さらに素早くシステムを立ち上げることが可能になるのではないでしょうか。そのためにはITも業務も進化し続けることが必要です。今回の取り組みを進めることにより、今後のグローバル・ビジネスのさらなる躍進につなげていきたいと思っています」。

資生堂は、OneModelを活用したIT戦略を軸として、業務改革や見える化、そして人材育成の取り組みを推進することにより、今後もグローバル企業としてさらなる成長を遂げていくだろう。

パートナー企業

日本アイ・ビー・エム株式会社
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