成功事例「太平電業株式会社」

太平電業株式会社
長期経営ビジョンの実現に向けて
業種特化型テンプレートを活用し、SAP ERPをビッグバン導入
1947年に創業以来、電力プラントを中心とする基幹設備インフラの建設・メンテナンスを通じて、社会・産業に貢献し続けている太平電業株式会社。同社では2008-2010年に掲げた経営計画「チャレンジ10」の一環として、法制度対応、スピード経営、業務効率の向上を実現するため、基幹システムを刷新。コベルコシステム株式会社をパートナーにSAP ERPのビッグバン導入を実現した。続く2011年からの10年を見据えた「Vision 2020」では、確かな業務基盤とするべく、本格的な活用に取り組んでいる。

「"新生"太平電業」を目指し基幹システムのあるべき姿を再定義

太平電業は国内外の発電所をはじめ、各種プラント・環境設備などの建設・補修工事を手掛ける総合プラント建設の専門企業だ。60余年にわたって蓄積してきた独自の技術を競争基盤に次なるステージを築く"新生"太平電業の実現に向け、2011年には長期経営計画「Vision 2020」を策定。国内外の著しい社会・経済環境の変化に対応するための取り組みについて、同社の総務管理本部 総務部 部長の片柳時雄氏は次のように説明する。

「1つは、強い人財を創ることです。その一環として大量採用した新卒者の育成と技術の伝承により、世代交代を図ります。もう1つの鍵が、スピード経営化と業務の効率化です。その実現に向けて基幹システムの刷新を決定し、2008年12月より、総務部 情報システム課ならびに本社スタッフ部門、支店、営業所、事務部門のキーマンを中心に、ERPの導入を念頭に置いた分科会を発足しました」

同社が従来使っていた基幹システムは、汎用系のパッケージソフトをベースにカスタマイズしたもので、すでに導入から10年が近づいていた。ユーザーの声が反映された30年来の従来型の業務手順をベースとしたシステムであったため、締めに合わせて蓄積されたデータを経営判断に活用するには、チェック・審査のプロセスを経てデータを収集/加工する必要があり、タイムリーな情報活用ができないことが課題となっていた。また、法制度などの変化に対応するためには、改修に時間とコストがかかることも懸念されていた。

そこで分科会では、まず基幹システムのあるべき姿を議論することからスタート。その中で業務プロセスの標準化と簡素化を追求し、時代の変化に迅速に対応できるシステムという方向性を定める。その実現に向けて、分科会から専任された専門委員会メンバーを中心に、要件定義、パッケージ選定が進められた。

エンジニアリング業界に最適化された導入パッケージを選定

エンジニアリング業界に最適化された導入パッケージ

クリックすると拡大します

パッケージ選定で重視された点は、長期利用を前提とした基幹システムとしての骨組みおよび大福帳データベースの堅牢性に加え、従来の業務構成/体系を一新し、シンプル化できる標準化された業務体系と構成、そして内部統制対応だ。また、グローバルビジネス、IFRS(国際財務報告基準)対応も考慮し、最終的にコベルコシステム株式会社をパートナーに、SAP ERPの導入を決定した。決め手となったのが、コベルコシステムが提供するSAP ERP導入テンプレート「HI-KORT for Engineering」の豊富な機能だ。プロジェクト型業種に最適化されたこのテンプレートは、プラント建築業界において確かな実績があり、低コスト/短期導入を実現する。総務管理本部 総務部 情報システム課 課長の中谷一博氏は、評価のポイントを次のように説明する。

「プラント建設業で使われる独自の用語があるように、SAP ERPにも我々が触れたことのない用語が存在しますが、コベルコシステムはその両方に精通しています。そのため当社の要件に合ったシステム構築だけではなく、業界に特化したシステムの提案とコンサルティング、それをSAP ERPに実装する技術・ノウハウが期待できると判断しました。HI-KORT for Engineeringでは、Excel VBAによるインターフェースがポイントでした。従来、Excelで台帳整理していた現場のやり方を変えず、ERPへのデータ入力ができるためです」

次世代型システム構築に向け「beansプロジェクト」を発足

Beams チーム

太平電業は2009年11月、法制度対応、スピード経営、業務効率の向上という3つのテーマを基軸とする全社プロジェクトを正式に発足。キックオフを契機に団結と絆を固め、「次世代を見据えたシステム」で業務改善の芽が早く出るようにという願いを込めて「beans( Business Enterprise Advanced Next System)プロジェクト」と名付けられた。

プロジェクトは「ビジネス設計」、「実現化」、「移行・検証」という3つのフェーズで進められた。「ビジネス設計フェーズ」では、コベルコシステムが主体となって、現状の業務プロセスとSAP ERPとのFit & Gap分析を実施。アドオンプログラムを開発すべきか、標準機能を使うべきかを明確化していった。また、「HI-KORT for Engineering」をベースに実機シミュレーションを重ねていく中で、「気付き」と「馴染み」を醸成する重要な期間となった。

「実現化フェーズ」では、コベルコシステムがわずか5カ月間で、アドオンの設計・開発から単体テスト、テスト機・本番機への実装までを完了。次の「移行・検証フェーズ」におけるテスト計画までを行った。

本稼働に向けた「移行・検証フェーズ」では、統合テストとシステムテストに加えて、業務の混乱を未然に防ぎ、早期定着を図るため、教育・研修が重視された。まず、分科会から参加している各部門のキーマンを中心に教育を実施。エンドユーザーに対しては全国からオペレーション担当を呼んで集合研修を実施するとともに、キーマンが実際の現場で浸透させていく体制を築いた。ユニークなのは、ここ数年採用してきた新入社員に対しても、オペレーション教育を徹底したことだ。これにより、コンピュータ操作に慣れた若手が新システム稼働時の応援部隊となり、現場のベテラン事務担当者をサポートする体制が築かれた。

「教育には、最も時間をかけたいと考えていました。その際に教育シナリオの策定から、操作マニュアルの作成までをフォローしてくれたコベルコシステムの存在は、非常に大きなものでした。また、HI-KORT for Engineeringにより開発期間を大幅に削減できたため、結果的に教育・研修に使える時間を増やすことにつながりました」(中谷氏)

現場への浸透と定着次のステップはBIによる情報の有効活用

太平電業の新しい基幹システムは、2011年4月に予定通りカットオーバーされた。すでに最初の四半期の決算も無事に終え、現在は活用フェーズへ向けて、新たな施策を計画している。

まずは、四半期の収支管理(見込み査定含む)とSAP BusinessObjectsによるBI活用となる月次の工事収支報告書を本格活用し、データ一元化による経営指標の明確化を目指している。この活用こそがプロジェクトの成功の鍵を握るものとして、コベルコシステムの協力のもと、全力で推進されている。その先に、「品質・安全」といった「人のイノベーション」までを可視化できる仕組みにしていきたいとしている。ここから、人事系のシステムの融合も含めた第2期構築へとつながっていく予定だ。

また、IFRSに対応した、プロジェクト発生時点での工番の仕組みとなるプロジェクト型会計を実装している。さらなる定着に向けた、新しい業務プロセスに対する再教育も続けられている。

同社は次の段階として、既存システムにデータがなく単純にシステムからデータ収集できないリスク管理情報を収集する仕組みづくりにも取り組んでいる。より幅広い分析を行い変化を先取りするための情報基盤を整え、今後さらに各部門のコラボレーションを強化し「総合力」を発揮していこうとしている。

「いずれにしても、自社のビジネスモデルを見直す、絶好の機会となりました。日々の業務を通じて、リアルタイムに情報が集約・活用できる基盤も整いました。ただし、それを活かすには、やはり新しい業務プロセスを現場が十分に理解し、実行することが不可欠です。そのためにも、今後も教育には力を入れていきます」(片柳氏)

SAP ERPを核とする新基幹システムは、太平電業の競争・成長基盤として、確かな価値を創出していくことが期待されている。

導入企業プロフィール

太平電業株式会社

本社:東京都千代田区
設立:1947年3月
事業概要:国内外の火力・原子力発電所をはじめ、各種プラント・環境設備などの建設工事・メンテナンス工事を手がける総合プラント建設業
http://www.taihei-dengyo.co.jp/

パートナー企業

コベルコシステム株式会社
コベルコシステム株式会社

  • JSUG入会のご案内JSUGNET利用登録について
  • 20周年企画特設ページ
  • JSUG事例 FactDB
  • JSUGの理念