成功事例「住友商事株式会社」

住友商事株式会社
変化を先取りしさらなる「総合力」の発揮に向けて
最新テクノロジーを駆使して経営情報基盤を高度化
日本を代表する総合商社として、資源やエネルギーから金融やメディア、リテールにいたるバリューチェーンの川上から川下までの事業をグローバルに展開し、「総合力」をコアコンピタンスとする住友商事株式会社では、2000年前後にいち早く連結ベースの経営情報システムと基幹系システムから成るSIGMAシステムを構築した。その後、ビジネスモデルの変化、新興国の台頭やサブプライム問題、ソブリンショック等で市場は複雑かつ不確実な要素が増え、経営環境や取り巻く経済環境が激変してきたため、現在および将来の経営判断に必要な経営情報を拡充すべく、アクセンチュア株式会社の協力を得て2011年5月に経営情報システムを刷新。最新のテクノロジーを盛り込んだ新システムは、同社の意思決定を早める基盤として活用されている。

多角的な事業促進を支える経営情報システムの10年先を見据えたビジョン(ありたい姿)を再定義

住友商事株式会社 事業イメージ

全世界65カ国に約140拠点、グループ全体では800社近くの事業会社におよぶグローバルネットワークを有する住友商事株式会社。同社は、絶えず進化を遂げる総合商社として、多様な産業分野における商品・サービスの販売/輸出入はもとより、国内外において積極的な事業投資を行うなど、総合力を活かした多角的なビジネスを展開している。

さまざまな事業会社やパートナーとの戦略的協業を通じて、新たな価値創造や社会貢献をし続ける同社に不可欠なのが、経営資源を戦略的に最適化するグローバルベースの事業ポートフォリオ管理である。経営層の意思決定支援のため2001年に構築した経営情報システムを積極的に活用してきた。

しかし、急激な経営環境の変化とともに、既存の経営情報システムがカバーしきれない状況も生まれてきた。また、2008年のリーマンショックに代表されるような想定外の激変が起こる中で、より高度で広範囲なリスク管理が求められると同時に、国際財務報告基準(IFRS)での業績管理も新たな課題としてクローズアップされてきた。

山田 明義 氏

山田 明義 氏
住友商事株式会社
IT企画推進部
企画統括チームリーダー

そこで同社は経営情報システムの高度化に向けて、2009年4月、IT企画推進部を軸に経営企画部、主計部、財務部、コーポレートリスク管理部から構成されるタスクフォースを発足。本当の意味で経営に求められる情報とは何かを再定義し、新しい経営情報システムのビジョン(ありたい姿)を考えるところから検討をスタートした。経営情報高度化プロジェクトのリーダーを務めるIT企画推進部 企画統括チームリーダーの山田明義氏は、当時の状況を次のように振り返る。

「タスクフォース発足に先駆けて、既存システム全般に関する課題や要望についてアンケートを全社で実施したところ、大きな課題の1つとして既存の経営情報システムで実現できていないことを改善したいという意見が寄せられました。これらの課題や要望とITの課題を踏まえて、今後10年使える経営情報システムを構築するために、単なる既存システムの改善ではなく、真に経営者が必要とする情報とは何か、起こり得る変化に対応していくためにはどうするかというシステム構築以前の根本的なところから新しい経営情報システムのありたい姿の検討に着手しました」

アクセンチュアの幅広い知見を活用してIT部門主導のプロジェクトを加速

谷口 博茂 氏

谷口 博茂 氏
住友商事株式会社
IT企画推進部
基幹システム統括チーム
サブリーダー

タスクフォースは、新しい経営情報システムのありたい姿作りと要件整理に約1年間を費やした。具体的には、経営層や各部門のマネジメントがどのような情報を見て経営判断を下しているのか、将来向かうべき経営情報管理の方向性などをタスクフォースでディスカッションし、経営層や各部門にも直接ヒアリングを行い、関係者と合意形成を図っていった。

その際に以前よりさまざまなプロジェクトで長期的なパートナーとなっていたアクセンチュアの知見や推進力が大きな力を発揮した。経営情報システムの高度化には、最新の経営指標や各部門の専門領域に関する知識や、関係者との合意形成を図り、システムに落とし込み具現化していく高度な技術が不可欠だ。アクセンチュアは国内外を問わず、数多くの企業で高度な経営管理を構築してきただけでなく、SAPをはじめ多様なシステムを活用したソリューションへの造詣も深く、長年にわたって住友商事のシステムを支援してきたため、同社のシステム環境を踏まえたデータ構造や情報の収集方法についても的確な提案が可能だった。

「アクセンチュアの優れている点は、企画や課題整理、業務要件調整等の上流工程から、システムの実装や運用の下流工程までを一貫してサポートできる点にあります。今回のプロジェクトでは、IT企画推進部がリーダーシップを発揮して、各部門をつなぐ役割を担うべきだと考えていました。そのためには、経営層や各部門の協力を得られるよう積極的な提案を行うことが不可欠です。アクセンチュアは新たな経営情報管理の要件整理や新システムのありたい姿を作成する構想段階から入って、各部門の専門領域を取りまとめながら、我々のプロジェクト推進を見事にサポートしてくれました。また、経営指標やレポート等を整理するフレームワークや事例の提示、システム要件に落とし込む方法も的確に提案してくれました。豊富な引き出しを持つアクセンチュアの懐の深さを改めて実感しました」(山田氏)

「経営情報システムは、ビジネスモデルや経営環境の変化に応じて常にその時に必要な経営情報を柔軟かつ迅速に提供することが求められます。そのため、最小単位のデータを一元保管する統合データベース(DB)やニーズの変化に応じて容易にレイアウト変更が可能なレポート機能等、変化対応力を備えたシステムを実装することが重要になります。これらのシステム構成の設計に際してもアクセンチュアの提案が役立ちました」(IT企画推進部 基幹システム統括チーム サブリーダー 谷口博茂氏)

最新テクノロジーを積極的に採用し経営ダッシュボードの利便性を向上

住友商事は、最新テクノロジーによるパフォーマンス強化にも取り組んだ。既存の経営情報システムは、経営層向けに情報を提供するGMC(Global Management Cockpit)と、現場で分析を行うためのODS(Operational Data Store)と呼ばれるシステムで構成されていた。しかし、DBが分かれていたため、両システム間でデータの不一致や更新タイミングのずれが生じていた。一方、タスクフォースでのヒアリングの過程で、特にODSについて既存のレポートの大半は若干の修正でそのまま使えることも分かっていた。そこで、それまで蓄積してきた10年間の資産を有効活用するために、ODSで利用していたSAP NetWeaver Business Warehouse(SAP NetWeaver BW)を活用してDBを統合し、2つのシステムを完全に同期させ、同時に、変化対応力を考慮し、新たな経営情報のニーズに対応できるようにするために、データの粒度も細かくすることとした。この統合DBを中核にして経営情報システムを高度化していった。

最大の技術的な課題となったのが、多忙な経営層のために、豊富な経営情報を高速かつ容易な操作で閲覧できるようにGMCの経営ダッシュボードの利便性を高めることだった。

その解決策となったのがインメモリーコンピューティングだ。インメモリーを搭載したSAP NetWeaver Business Warehouse Accelerator(SAP NetWeaver BWA)によりバッチ処理を高速化し、同じくインメモリーを搭載した経営ダッシュボードツールのMicroStrategyを採用したことで、複数のグラフや数表から成る経営ダッシュボードを5秒以下で表示することを実現した。

「テクノロジーの組み合わせが寄与しています。これまではバッチ処理において集約キューブと呼ばれる中間DBを作成することでレポート出力処理のパフォーマンスを維持してきました。SAP NetWeaver BWAの採用によりその中間DBが不要となり、バッチ処理を高速化できました。バッチ処理時間の短縮により夜間処理に余裕ができ、統合DBのデータ単位をより細かくし、データの更新頻度を上げることができました」(谷口氏)

各部門が有機的に連携する「経営情報ポータル」を確立

2011年5月にリリースされた住友商事の新しい経営情報システムは、GMC約3,000、ODS約6,000のユーザーに利用されている。GMCは経営層から現場までのシームレスな情報の流れを実現するため、厳格な権限管理のもと、経営層に加えて、マネージャークラスの末端にまで利用者の対象を拡げている。懸案となっていたリスク管理は、月次から日次へと情報の鮮度を上げ、各種リスクへの早期対応を図っている。また、数字で見せる定量情報のみでなく、各種分析コメントやその他重要文書等、経営層に必要な情報を全てGMCから簡単に閲覧できるようにし、経営情報ポータルを実現した。

成功の要因はいくつかあるが、最大のポイントは、やはりIT部門が主体的に関係部署を取りまとめ、リードすることにより、経営層や各部門の協力を得られたことだ。新経営情報システムのユーザー教育においても、定期的な実施はもちろんのこと、たとえば経営層には、少し使った後に個別説明を行うなどタイミングにも配慮した。また、変化する経営環境に対応するため、ヘルプデスクも単なる操作サポートやトラブルに対応するのみでなく、ユーザーからの経営情報に対する課題や要望へのコンサル機能を持たせることとした。このヘルプデスクに集まる情報や経営層のニーズに、実際のシステムの利用状況を加味してPDCAサイクルを回し、必要な経営情報を追加し、不要な経営情報を廃止して、経営情報のポートフォリオ管理をし、経営情報システムを進化させ続けていく。これらもアクセンチュアとのディスカッションの中から生まれたアイデアだ。

一方、SAP BusinessObjects Business Planning and Consolidationを活用し業績管理やリスク管理の連結情報を収集、集計している。この情報収集には連結ベースでの経営情報を実現するために10年前に導入したコードの標準化が貢献している。

同社は次の段階として、既存システムにデータがなく単純にシステムからデータ収集できないリスク管理情報を収集する仕組みづくりにも取り組んでいる。より幅広い分析を行い変化を先取りするための情報基盤を整え、今後さらに各部門のコラボレーションを強化し「総合力」を発揮していこうとしている。

「10年前に先代の経営情報システムを稼働させて以降、当社では自らシステムで経営情報を見るという文化が根付いていました。今回の刷新で真の経営情報ポータルを実現することができたと実感しています。これからも、変化をチャンスに変え、総合力を発揮することに貢献できるよう、この新しい経営情報システムを止まることなく進化させ続けていきたいと考えています」(山田氏)
「事業活動を俯瞰的に把握したITを武器に、住友商事はまた新たな一歩を踏み出しています」(アクセンチュア 西井保氏)

各部門が有機的に連携する「経営情報ポータル」

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導入企業プロフィール

住友商事株式会社

本社:東京都中央区
設立:1919年12月
事業概要:全世界に展開するグローバルネットワークとさまざまな産業分野における商品・サービスの国内販売/輸出入/三国間取引および国内外の事業投資
http://www.sumitomocorp.co.jp/

パートナー企業

アクセンチュア株式会社
アクセンチュア株式会社

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