導入事例「住友重機械工業株式会社」

住友重機械工業株式会社
海外展開時の回帰テストにおける現新比較テストや
権限テストの自動化により工数削減とテスト品質向上を実現
総合機械メーカーの住友重機械工業株式会社は、2015年にSAP Business Suite powered by SAP HANA(通称Suite on HANA。以下、SoH)を導入し、本社と国内12拠点で新会計システムを稼動させた。翌年には精密機器事業部に生産管理系システムを導入。導入済みシステムの海外展開と、他事業部への横展開に向けて、住友セメントシステム開発(以下、スミテム)のテスト自動化ソリューションを採用し、テスト工数削減とテスト品質の向上を実現している。

SoHの海外・横展開に向けてシナリオテスト・権限テストの自動化を検討

三宅 正記 氏

三宅 正記 氏
住友重機械ビジネス
アソシエイツ株式会社
情報システム部
ビジネスプロセス変革G 主事

住友重機械工業(以下、SHI)は現在、機械コンポーネント、精密機械、建設機械、産業機械、船舶、環境/プラントの領域で事業を展開しており、近年は海外進出やM&Aも積極的に進めている。グローバル事業環境の変化にスピーディーに対応するため、2015年にSoHを導入。インフラ基盤にはSAP HANA Enterprise Cloudを採用してグローバルワンインスタンスで運用している。

その後、会計システムの海外展開と並行する形でSoHによる生産管理系システムの開発に着手。最初のターゲットとして極低温冷凍機などを製造する精密機器事業部に導入し、2016年10月から本稼動を開始した。現在は、他の事業部への導入に取り組んでおり、2019年中の本稼動を目指している。

海外の拠点を増やしたり、精密機器事業部から他事業部にSoHを横展開するにあたり、発生する業務シナリオテストの効率化が課題となった。SHIグループのIT戦略を支える住友重機械ビジネスアソシエイツ 情報システム部 ビジネスプロセス変革グループ 主事の三宅正記氏は次のように振り返る。

「ワンインスタンスで稼動しているシステムに対して海外展開や横展開で変更を加える場合、既存保証のための回帰テストを実施します。具体的には、変更前の現システムと変更後の新システムで同一の結果が出ることを確認する現新比較テストや、システムの操作権限が正しく設定されているかを確認する権限テストが必要になります。しかし、これらをすべて手動で実施するとなると膨大な時間がかかるため、自動化して工数と期間を短縮し、コストを削減する必要がありました。また、スキルにかかわらず誰もが同じテスト作業を実施できる体制を整え、テスト品質を向上させることも重要でした」

実質5カ月の短期間でシナリオテストと権限テストを自動化

中込 篤 氏

中込 篤 氏
住友重機械ビジネス
アソシエイツ株式会社
情報システム部
ビジネスプロセス変革G 主任

回帰テストの自動化を検討したSHIは、会計システムの導入時に、SAP Quality Center by HPを用いた自動テスト開発ツール「QC-ACCEL」の活用とスキル習得を「要員育成型QC開発支援サービス」によって支援したスミテムに対応を相談。スミテムの画像/テキスト比較ツール「CP-ACCEL」と、権限テストを自動化する「SAP権限テスト自動化フレームワーク」の2つを採用することにした。三宅氏は「2015年からの支援実績と、各種テスト自動化ソリューションの完成度の高さを評価し、迷うことなく採用を決めました」と語る。

テスト自動化のプロジェクトは2017年2月から本格的に始動し、3月末までの2カ月間で業務シナリオテストの自動化開発を終えた。さらに、同年4月から6月までの3カ月間で権限テストの自動化開発を行っている。業務シナリオテストの自動化では、購買や生産に関連するシナリオ約200本と、トランザクション約200本をピックアップしてSAP Quality CenterでSAPシステムのテストシナリオ実行操作を記録。記録した操作が正常に動作するかの動作確認と、テスト自動化に向けた調整を経て開発を行った。権限テストの自動化では、シナリオテストの自動化で除外した約250本のトランザクションを追加し、合計約450本のトランザクションを自動化した。

システム展開のスケジュールに合わせるため、自動化開発は短納期を迫られたが、スミテムのリードの下、住友重機械ビジネスアソシエイツ、SAPシステムの導入パートナー、SHIのフィリピンのグループ会社の4社が密に連携した協力体制で乗り切った。住友重機械ビジネスアソシエイツ 情報システム部 ビジネスプロセス変革グループ 主任の中込篤氏は次のように語る。

「3月末までには業務シナリオテストの自動化開発を終わらせる必要があり、スミテムには限られた期間で対応いただきました。精密機器事業部の開発現場まで頻繁に足を運んで直接対応したり、テレビ電話でフィリピンの開発要員にノウハウを展開したりと、スミテムのきめ細かな対応には非常に助けられました。難しい要望に対しても一緒に考え、解決策を見つけることができました」

画像・テキスト比較とエビデンス作成を行う「CP-ACCEL」で現新比較作業を大幅に効率化

テストの自動化により、1回の回帰テスト全体にかかる工数は5割弱削減された。「今まで人手の作業で7人月かかっていた工数が、自動化で4人月弱に削減されたイメージです。テスト期間も約5割短縮され、今後テスト範囲や実施回数が増えてくると工数削減や期間短縮のメリットはもっと大きくなります」(三宅氏)

さらに自動化によってテストの個人差がなくなり、テスト品質も向上した。「これまではフォーマットはあっても担当者によってエビデンスの取得方法やレポートの記載方法がばらばらでしたが、自動化によってかなり標準化されました。また、従来はSAPシステムを理解している要員でなければテスト実行ができませんでしたが、今回のテスト自動化プロジェクトでテストシナリオ操作記録の内容を基にテスト仕様書を詳細化したことにより、テスト実行時の暗黙知が明示されて現在は誰でもテストが実施できるようになりました。これにより、上流の要員がテスト結果の判断だけに集中できるようになっています」(三宅氏)

工数削減が進んだなかでも、特にスミテムの画像/テキスト比較ツール「CP-ACCEL」を使った現新比較テストで作業負荷が大きく削減された。

「現新比較テストでは、現新のテスト結果エビデンスを残す作業に手間がかかります。手作業の場合、受注から出荷、納品、請求といった業務シナリオに対して画面キャプチャを1つひとつ取りながらExcelシートに貼り付け、目視で現新の画面を比較しなければなりませんでした。CP-ACCELなら自動テストで取得した画面キャプチャを自動的にExcelシートに配置し、比較結果のレポートも自動で出力されるため、大幅に負担が軽減されます。その結果、実施するテストシナリオ数も増やせて、テストのカバー範囲も広がりました。何より、単調になりがちなテスト作業がスムーズになり、モチベーションの維持にも役立ちます」(中込氏)

海外拠点と他事業部への展開に向けテストの自動化を継続

精密機器事業部のテスト自動化開発が一段落し、現在は、他事業部へのSAPシステム導入が実施されている。今後は、海外拠点(アジア、中国、アメリカ、ヨーロッパなどの25カ国)に対してもSoHが展開される予定だ。

「海外展開する際も、拠点を追加するたびに既に展開済みの拠点に対する回帰テストとして現新比較テストを実施するため、テストを自動化するシナリオ・トランザクションなど、さらにテスト範囲を広げる必要があります。テスト自動化開発のボリュームも多く、自社だけではリソースに限界があるため、改めてスミテムの支援を受けながら進めたいと思います」(三宅氏)

効率的にテストを実施する体制を整えながら、SHIの国内外のシステム展開はスピーディーに進んでいく。その先にあるのは、よりパワーアップした事業変化への対応だ。

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[クリックして拡大] 左から現システム画面、新システム画面、差分画面(赤色が差異)

会社概要

住友重機械工業株式会社

設立:1934年11月1日
資本金:308億7,165万円(2017年3月31日現在)
売上高:連結6,743億2,800万円(2016年度)
従業員数:連結1万9,321名(2017年3月31日現在)
事業内容:機械コンポーネント、精密機械、建設機械、産業機械、船舶、環境・プラントの研究/開発/製造/販売
http://www.shi.co.jp/

パートナー企業

住友セメントシステム開発株式会社
住友セメントシステム開発
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