マルチクラウドの導入事例

SAPインフラの最適化を実現する
富士通のマルチクラウドソリューション(第1回)
SAP認定のクラウドサービスは年々増加しており、基幹システムをクラウドに移行する企業が増えている。しかし、日進月歩でサービス内容や価格体系が更新されていくなかで、自社にとってどのサービスがベストなのかを見極めることは容易ではない。富士通では、SAPシステムの構築/運用実績と多彩なクラウドインテグレーションの強みを活かして、お客様に最適なクラウドサービスを提案している。

クラウド化の企画から、構築、運用までをワンストップで提案

クラウド活用においては、どのサービスが自社の環境に合うかの見極めが重要だが、多くのクラウドサービスの強みを把握し、常に最新情報を収集していくのは簡単なことではない。また、SAP ERPと連携する周辺システムを含めたクラウド移行の有効性やタイミングなども考慮する必要がある。

富士通では、クラウド化によるメリットを検討する「アセスメントサービス」、SAPシステム移行の設計/構築/テストを実施する「短期構築サービス」、移行後の「運用サービス」の3ステップを提供し、企画から運用までをワンストップで実現。3つのなかから目的に合ったサービスだけを利用することも可能だ。

アセスメントサービス:既存のIT資産を整理して可視化。富士通ではお客様の業務を横断しながらICTの全体最適を実現する独自の手法「TRIOLEアプローチ」を用いてアセスメントを実施し、グランドデザインを描いたうえで移行のロードマップを作成する。

富士通は、自社の技術を結集したFUJITSU Cloud Service K5だけでなく、アマゾン ウェブ サービス(AWS)やMicrosoft Azure、SAP Cloud Platform、ニフティクラウドなどのサービス認定技術者を数多く抱えているため、公平に各サービスのメリット/デメリットを評価し、導入後の運用まで見据えた提案が可能だ。SAPシステムと連携する帳票管理、EDI、EAIなどの周辺システムやDR環境のクラウド活用も含め、全社基盤の最適化を支援する。 移行するクラウドサービスが決まったら、実証実験(PoC)で想定通りの性能が得られるか、移行時の手順や負荷などを検証する。クラウド移行後も再診断サービスにより、性能の課題やサービスの乗り換えなども考慮しながら、継続的に全体最適化を支援する。

短期構築サービス:サーバーやストレージのサイジングから、環境設定、サーバーOSのアップグレード、SAP ERPのアップグレード、サポートパッケージの適用などを支援する。ハードウェアの調達が不要なクラウドサービスなら、オンプレミスと比べて構築期間を数カ月短縮できるため、通常6~8カ月、最短4カ月で移行した事例もある。その他にも、クラウドの課金体系を検討するクラウド利用指針設計や、監視やジョブ管理基盤の構築など、移行に必要なサービスが一通り用意されている。

運用サービス:SAP ERPのクラウド環境を統合的に管理、監視する。クラウドサービス固有の機能を把握したうえで、稼動状況やリソースを24時間365日体制で監視。サーバーの追加/変更、仮想マシンの立ち上げや停止、パッチの適用など運用全般を支援する。

現在、SAP ERPの保守サポートが終了する2025年に向けて、SAP S/4HANAの導入を本格的に検討する時期も迎えている。ERPのクラウド移行、それに伴うOS/DBのバージョンアップや、SAP ERP のEHP適用などはSAP S/4HANAへの準備段階としても有効であり、富士通のマルチクラウドソリューションは、システムのあるべき姿の実現を導く一助となるはずだ。

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図1:SAP on マルチクラウドソリューションのサービス体系

[ケース1:日本ゼオン株式会社]
システム基盤の「あるべき姿」に向け富士通のK5を選択

佐藤 一志 氏

佐藤 一志 氏
ジスインフォテクノ株式会社
システム運用部 部長

世界トップクラスの合成ゴム、化学品、情報材料、高機能樹脂などの製造を手がける日本ゼオン株式会社。同社は2001年にSAP R/3をビッグバン導入して以来、国内外の主要拠点に展開を進め、グループ内取引や連結決算を効率化してきた。インフラ基盤は導入当初から富士通のデータセンターに置き、ハードウェアやBasisの運用をアウトソーシングしていた。

インフラ基盤が保守契約の終了を迎えるタイミングで、日本ゼオンの情報システム部とIT戦略会社のジスインフォテクノ株式会社(ZIFTEC)は、SAP ERPおよび周辺システム、データセンターで運用していたメールシステム、情報共有システム、その他社内のイントラネットで利用している業務系システムなど127台のサーバーをクラウドに移行することを決断する。

「ありたい姿として、コスト削減、利活用の拡大、堅牢性の向上、迅速性/柔軟性の向上、運用効率の向上の5つをピックアップし、これらを実現するためにはIT資産を持たずネットワーク経由で利用するクラウドサービスがベストと判断しました」と、日本ゼオン 経営管理統括部門 情報システム部 部長の渡辺幸男氏は語る。

日本ゼオンは、ありたい姿を実現する達成力、クラウドサービスの内容、ベンダーの構築力、コストを評価項目とし、最終的にオール富士通のメリットが得られる「FUJITSU Cloud Service K5(以下、K5)」を採用した。 「クラウドサービスの提供元と構築ベンダーが一体化していれば、問題が起きた際も迅速な対応が期待できます。富士通とはメインフレームの時代からお付き合いがあり、SAP ERPのバージョンアップを担当したSEも今回アサインされていましたので、構築やトラブルへの対応力に信頼感がありました」と、ZIFTEC システム運用部 部長の佐藤一志氏は語る。

日本ゼオンは2017年5月に、全体の業務基盤となるSAP ERP、化学物質管理専用のSAP ERP(SERC)、SAP BWに加え、周辺系のSAP Solution Manager、SAP BusinessObjects、化学物質管理のSAP EHS、コンテンツサーバーを加えた合計16台のサーバーを移行。その後メールシステムや情報系システムなどを順次移行し、2017年9月末に対象127台のサーバーの移行を完了させている。

「停止時間を3日(72時間)以内に収めるため、リハーサルを繰り返して精緻な計画を立てたうえで移行しました。富士通からK5に関する各種の情報提供を受け、これで大丈夫というお墨付きが得られたことは大きかったと思います。構築/移行時にも十分な人材をアサインいただき、日本ゼオン、ZIFTEC、富士通の3社が一体となってプロジェクトを進めることができました」(佐藤氏)

さらに、富士通のデータセンターで行っていた運用環境を丸ごとK5の運用環境に移行。異常監視やバックアップ体制などをそのままクラウド環境に切り替えられたため、品質を落とすことなく運用を継続できているという。

ハードウェア保守からの解放とインフラリソースの最適化が実現

SAP ERPをはじめ合計127台のサーバーをK5に移行した現在、導入の効果も徐々に見えつつある。

「数年単位で発生していたサーバーの更新が丸ごとなくなり、運用負荷の軽減と数億円単位のコスト削減が期待できます。また、従来は容量に上限がありましたが、クラウド化によって随時リソースを追加できるようになりました」(渡辺氏)

その他にも、システムが停止するリスクも大幅に低減している。それまでも冗長構成は取っていたものの、本番機のマザーボードやスイッチの故障によるダウン、ディスクの故障によるバックアップのエラーなど、自社で対応するには多くの負荷とコストを要していたが、K5では自動的に堅牢性の高い環境が確保されている。

今後は、今回のクラウド化に含まれていないファイルサーバーと、仮想デスクトップサーバもK5に移行していく考えだ。

「K5に対しては、ランサムウェアや新型のサイバー攻撃に備えたセキュリティの強化、IoTやAIなどへのタイムリーな対応に期待を寄せています。また、長期の利用でクラウドサービスならでのコストメリットが出ることを要望しています」(佐藤氏)

グループの重要な価値基準として定める「スピード」「対話」「社会貢献」の実現に向け、日本ゼオンのIT基盤の強化と高度化に向けた取り組みは続いていく。

会社概要

日本ゼオン株式会社

設立:1950年4月12日
資本金:242億1,100万円(2017年3月末)
売上高:連結2,876億2,400万円(2016年度)
従業員数:連結3,090名、単体1,590名(2017年3月末)
事業内容:合成ゴム、合成樹脂、化学品の製造・販売
www.zeon.co.jp

パートナー企業

富士通株式会社
富士通株式会社