導入事例「ヤマハ株式会社」

ヤマハ株式会社
グローバル情報分析基盤をインメモリデータベースにマイグレーション
経営層への迅速な情報提供を実現
1887年の創業以来、「音・音楽」を中心とした多様な製品やサービスを提供し、音楽、教育、文化におけるニーズに応え、さまざまな"感動"をサポートしてきたヤマハ株式会社。グローバル情報分析基盤をインメモリデータベースにマイグレーションすることで、処理の高速化と業務の効率化、将来に向けた柔軟性、保守性の高い情報基盤を構築した。

創業125年以上の歴史を持つ楽器の老舗、世界各国で"お客様視点"の事業を展開

楽器事業、音響機器事業、電子部品事業をはじめ、ゴルフ用品事業、自動車内装部品事業、FA(Factory Automation)機器事業、リゾート事業などをグローバルに展開しているヤマハ株式会社(以下、ヤマハ)。
ヤマハでは「お客様視点」による事業展開を支える情報分析基盤として、SAP Business Warehouse(BW)を利用した4つの国内BWシステムと1つのグローバルBWシステムを稼動させている。部門最適で導入されてきた5つのBWシステムは、バージョンが異なるほか、同一データの重複保持という課題を抱えていた。

またグローバル情報分析基盤において、SAP BI Accelerator(BIA)を採用しパフォーマンスを向上させていたが、サポート契約が2015年末で終了してしまうことから、グローバル分析基盤のマイグレーションも解決すべき課題となっていた。このプロジェクトをアビームコンサルティング(以下、アビーム)が提案力を生かして支援している。

BI AcceleratorをBW on HANAにマイグレーション

関山 順一氏

関山 順一 氏
ヤマハ株式会社
情報システム部 IS戦略室
企画担当 課長

重野 真也氏

重野 真也 氏
株式会社ヤマハビジネスサポート
ビジネス開発事業部 ICT業務部
インフラサービスグループ
企画推進担当課長

ヤマハでは、2015年3月よりグローバル分析基盤のマイグレーションプロジェクトをスタート。BIAの次のツールとして、インメモリデータベース技術を搭載したSAP Business Warehouse 7.4, powered by SAP HANA(BW on HANA)を採用した。

その後、2カ月の計画フェーズを経てグローバル情報分析基盤に導入されている既存のBW7.0の7.4へのバージョンアップおよびUnicode化を実施。次にデータベースのHANAマイグレーションを行い、11月より旧システムと新システムを並行稼動させ、データを約1カ月間比較して同じ数字になることを確認後、2016年1月に本番稼動している。

ヤマハビジネスサポート ビジネス開発事業部 ICT業務部 インフラサービスグループ 企画推進担当課長の重野真也氏は、「BW on HANAマイグレーション作業開始の半年後にはグローバル情報分析基盤を本番稼動するため、短期間でのマイグレーションが最大のポイントでした」と当時を振り返る。

またBW7.4へのバージョンアップおよびUnicode化を実施後、BW on HANAにマイグレーションする2段階の移行作業と、データの移行作業が複雑であるという2つの課題もあった。ヤマハ 情報システム部 IS戦略室 企画担当課長の関山順一氏は、次のように語る。
「グローバル情報分析基盤は、各国のソースシステムとデータ連携をしているため、夜間バッチ処理だけでなく、各国のタイミングに応じて随時更新処理が実施されています。ゆえに、既存のシステムと新しいシステムのデータをどのタイミングで比較して一致させるかが重要でした。特に、データ移行のリハーサル作業では想定していない課題も多々発生し、本番作業までの期間での課題解決には苦労しました」

アビームクラウド基盤で導入を2カ月短縮、オフショアの活用で作業の効率化も実現

6カ月という短期間でマイグレーションするための開発環境として、アビームクラウド基盤を活用することを決定。ヤマハのプライベートクラウドとアビームクラウド基盤をVPNでつなぎ、ヤマハのデータセンターの延長線上に開発環境があるような仕組みを構築。アビームクラウド基盤上でバージョンアップとマイグレーションを実施したことで、開発機器の調達や設定などのリードタイムをなくし、約2カ月の期間短縮を実現した。 またBWのバージョンアップおよびUnicode化に伴う開発・検証作業やデータ移行ツール開発などは、中国のオフショアを利用することで作業の効率化を実現している。 「当初の予定では開発機器の調達だけで2~3カ月かかり、12月の本番稼動に間にあわないという課題がありました。しかしアビームクラウド基盤の利用を提案頂き、当初の予定どおりに本番稼動できました」(重野氏)

高いプロジェクト管理能力でアビームを採用、グローバル拠点へのSAP ERP導入実績も評価

マイグレーションプロジェクトにアビームが選定された理由は、プロジェクト管理能力や現場を巻き込んだプロジェクトの推進などの実績にあった。また、BWを含むSAP ERP導入プロジェクトの実績や経験、ノウハウ、方法論や、ヤマハのグローバル拠点にSAP ERPを導入した実績も評価されている。
「IS戦略室に配属される前は、技術情報を管理するPDMシステムを担当していました。その当時のプロジェクトで、SAP ERPシステムとの連携面でのアビームのサポート対応を高く評価していました」(関山氏)

処理時間やディスク使用量を大幅に削減、現場の担当者や経営層も効果を高く評価

前田 茜 氏

前田 茜 氏
ヤマハ株式会社
情報システム部 IS戦略室
主任

BW on HANAのインメモリデータベースの効果として、データ連携の処理速度を約40%向上させたほか、レポート実行の処理速度が約50%向上。またカラム型データベースの特長であるデータ圧縮技術により、ディスク使用率を約68%削減している。

さらにヤマハ 情報システム部 IS戦略室 主任の前田茜氏は、「業務担当者に業務効率の向上を体感頂いていることが最大の効果です。今回、アビームのサポートもあり、ユーザインタフェースをまったく変えずに処理時間を半減することができたので、操作感に困惑する事なく純粋な速度向上効果を実感しています」と話す。

分析ニーズの変化で、品目単位でよかった分析が伝票単位になるなど、より詳細なデータが必要になっていた。そのためデータの蓄積方法も変えなければならず、データ量も増加し、データ集計の月次処理が14時間程度かかっていた。この月次処理も、BW on HANAへのマイグレーションで半分程度の時間に短縮され、運用保守作業の効率化も実現。短縮できた時間を他の機能拡充に割り当てることも可能となった。

またシステム面での効果を重野氏は、次のように語る。「BIAは不安定で、インデックスが不整合を起こすなど、システムが止まってしまい、再起動が必要な状況が時々発生していました。BW on HANAは、特に大きな問題もなく安定して稼動しているので安心感があります」

さらに関山氏は、「以前は、BWからデータを抽出し、Excelで加工して、グラフを作り、それを切り貼りしてレポートを作成し、メールで経営層に送付していました。BW on HANAを導入したこととBIツールを活用することで、経営層を含めた事業部門に対して、より迅速な情報共有が可能になりました」と話している。

BW on HANAによるデータの精度向上と業績評価指標の可視化に期待

今後、ヤマハでは、ローカル領域の4つの情報分析基盤のバージョンアップやインスタンス統合で、グローバル情報分析基盤および国内情報分析基盤を拡充させる計画だ。またデータの整理・シンプル化による保守性、利便性の向上や業務担当者によるセルフ分析環境の構築も検討している。これにより、データの精度向上、および現在は見ることができない業績評価指標の可視化を実現するために、必要な情報収集が可能な仕組みの実現を目指している。

今後の取り組みを重野氏は、「BW on HANAの最適化はもちろん、SAP S/4HANAの導入を視野に入れた検討を推進しています。そのための基盤の構築とノウハウの蓄積はできたと思っています」と語る。

また前田氏は、「今回、BW on HANAがスムーズに本番稼動するように、ユーザインタフェースやアプリケーションを変更することなく基盤だけを変更して効果を上げています。次の取り組みとして、分析に必要なデータを増やしていくことが必要になります。利用者が見たい情報を、できるだけ早く提供できる環境を構築したいと思っています。このとき、システム開発にパブリッククラウドを活用することで、開発期間の短縮や開発コストの削減なども模索していきます」と語る。

関山氏は、「さまざまな指標を見るために苦労することなくデータを活用でき、報告書を作成するための労力を低減できる環境を作ることが今後の取り組みです。そのためには、分散しているデータを統合し、足りないデータを補うデータ整備が必要です。BW on HANAの導入で利用できる機能が増えていますが、これらをどのように使えばより効果が期待できるのか、今後のアビームの提案とサポートに期待しています」と話している。

※企業情報、組織名称、役職などは取材当時のものです。

グローバル分析基盤 ロードマップ

グローバル分析基盤 ロードマップ (※クリックで拡大します)

会社概要

ヤマハ株式会社

設立:1897年10月(創業1887年)
資本金:285億3,400万円
売上高:4,354億7,700万円(連結)
従業員数:20,348人(連結)
事業概要:楽器事業、音響機器事業、電子部品事業、その他の事業(ゴルフ用品、自動車用内装部品、FA機器、リゾート施設)
http://jp.yamaha.com/

パートナー企業

アビームコンサルティング株式会社
アビームコンサルティング株式会社
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