導入事例「日本電気株式会社(NEC)」

日本電気株式会社(NEC)
SAP HANAプラットフォームへの移行に向けて
オブジェクトの影響分析と改修業務を効率化
グループ一体となって経営改革を進める日本電気株式会社(以下、NEC)は、販売・経理・購買業務を支える基幹システムをインメモリープラットフォームSAP HANAで刷新し、経営のリアルタイム化に取り組んでいる。移行にあたり、約2万点以上のアプリケーション、オブジェクトの影響分析を行うため、SAPアップグレード支援サービス「Panaya(パナヤ)」を採用。短期間で大規模かつ高精度な分析とテストソリューションの有効活用により、開発効率の向上に加え、SI工数を大きく削減している。

SAP S/4HANAへの移行を見据えプラットフォームを刷新

亀井 英夫 氏

亀井 英夫 氏
株式会社NEC情報システムズ
主席主幹

グローバル市場の競争激化を受けてNECは、2008年からグループ一体で経営システム改革を推進するG1(Global One)プロジェクトを立ち上げた。G1プロジェクトでは、個別最適化されていた基幹業務のプロセスを標準化し、SAP ERP(ECC6.0)を用いて構築した経理、販売、購買のシステムを、NECグループのプライベートクラウド上でサービス化。2010年にNEC本体と、国内の主要な連結対象子会社へ同時展開し現在も順次展開している。グローバル拠点についても北米、APAC(アジア太平洋地域)、中華圏、中南米、EMEA(欧州、中近東、アフリカ)の5極に展開中だ。

2015年に国内拠点のハードウェアの更新時期を迎えるにあたり、同社はプラットフォームを再検討。国内のNEC本体、国内連結対象子会社に加え海外(APAC、中華圏、中南米)の計6つのインスタンスにインメモリープラットフォームのSAP HANAを採用し、データベースを全面的に刷新することを決断した。

国内ではまだ事例の少ないSAP HANAへのマイグレーションに踏み切った理由について、導入の中心的役割を果たしたNEC情報システムズの主席主幹の亀井英夫氏は次のように語る。「次期ERPであるSAP S/4HANAへの将来的な移行を見据えたものです。今後はSAP HANAベースの機能が次々とリリースされる可能性が高く、社会ソリューションに注力するというNECグループのミッションを果たすためには、このタイミングでSuite on SAP HANAに対応しておく必要があると判断しました」

分析スピード、精度、網羅性を評価してPanayaの採用を決定

関 徳昭 氏

関 徳昭 氏
株式会社NEC情報システムズ
基幹システム事業部
マネージャー

プラットフォームにSAP HANAを採用するにあたり、同社はSAP ERPのエンハンスメントパッケージ(EhP)を最新化し、1モデルで10TB規模のデータベースを既存のSQL ServerからSAP HANAに移行する必要があった。しかも、移行期間は10カ月に限られ、スケジュール厳守が必須だった。アプリケーションの検証、改修を担当したNEC情報システムズ 基幹システム事業部 関 徳昭氏は、移行時に直面した課題を次のように振り返る。
「既存のECC6.0ではEhPを一度も適用しておらず、今回はEhP0からEhP7まで一気にバージョンアップする必要がありました。改修項目をピックアップしたところ、アドオンアプリケーション・オブジェクトの数は2万点以上にものぼることがわかり、膨大なプログラムの精緻化と絞り込み、改修・テストにかかる工数の低減が課題となりました」

対応策を検討する中でPanayaの存在を知ったNEC情報システムズは、無料簡易アセスメントを利用して2週間のPoC(コンセプト検証)を実施。有効性を検討した結果、分析スピードの速さ、精度の高さ、分析対応のボリューム(網羅性)を評価して採用を決定した。

選定理由について、関氏は次のように語る。「Panayaは必要な改修項目を、漏れなく的確に抽出していることが確認できました。さらに、Panaya Japanによるグローバルな支援体制が充実しており、国内での実績も豊富なため、安心して導入できると判断しました」

亀井氏も「マイグレーションの対象とした複数のインスタンスについて、それぞれの差異まで詳細に分析できることがわかりました。差異が明確にわかれば、共通する部分の改修は1回で済ませ、インスタンス固有の部分に注力すればよくなるため、改修・テストの効率を飛躍的に高められます」と述べている。

膨大な影響分析にPanayaの分析スピードが貢献

NECグループにおけるSAP HANAプラットフォームへの移行プロジェクトは、2015年7月からスタート。Panayaを使った本格的な影響分析と改修の作業を、2015年12月までの5カ月間で実施した。2016年1月からは結合テストフェーズに進んでおり、2016年度中にはNEC本体を始めとしたすべてのモデル(インスタンス/関係会社)をSAP HANAに切り替える予定だ。

今回のプロジェクトは、データ移行方式に本稼動システムのダウンタイムを最小限に抑えるためSAP独自の「SLO(System Landscape Optimization)サービス」を用いることで世界最短を目指すチャレンジだ。一方、アドオンアプリケーションやオブジェクトの改修工程についても、PanayaだけでなくSAPの標準機能も活用しながらノウハウを蓄積。その中でも、現行システムへのAPレベルアップを凍結することなく、同時並行的にオブジェクトの改修を進める作業となったため、難易度が高かったという。
「改修中もプログラムが更新されていくため、影響分析は更新の都度実施しながら進める必要がありました。その中で、Panayaの分析スピードの速さや、網羅性の高さは非常に有効でした」(関氏)

また、抽出が困難な例外部分についてもPanaya Japanのサポートによって把握し、さらにSAPのサポートの見解も得ながら、漏れのないバージョンアップを進めていった。
「Panayaによる影響分析の抽出率は現状98%です。さらに抽出率を高めたいところですが、SAP ERPのプログラムの性質上、例外の発生は避けられません。そこはPanayaの担当者からロジックまで踏み込んだ説明を受け、SAPのコードインスペクタ、NECグループ独自のノウハウで補完することで100%の抽出・改修を実現しました」(亀井氏)

JSUG導入事例「日本電気株式会社」

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修正対象の絞り込みによりSI工数を70%削減

プラットフォーム移行における大規模分析にPanayaを採用した結果、コード修正作業、単体テストの工数は、Panayaを使わずに差分を改修した場合を100%とすると、70%の削減率となり、30%の工数で収まっている。
「当初SAP標準のツールによって抽出した2万点以上のアドオンアプリケーション/オブジェクトの修正対象を、Panayaによって約7,000点まで整理し、さらに優先度の高い約4,000点まで絞り込むことができました。それによって、単体テストの対象も減り、当初40%と見込んでいたSI工数の削減率が70%まで伸び、想像以上の成果を得ることができました」(関氏)

テストプログラムの自動実行で結合テストの工程を効率化

NECが2016年から進めている結合テストのフェーズでは、Panayaのテストソリューションを本格的に活用してグループの主要業務をシナリオ化し、約2,400のシナリオをベースにテストの管理、高速化を図っている。
「テスト工程を自動化することで、結合テストの効率化が期待できます。合わせてエビデンスの取得も自動化されるため、テスト作業の約60%近くを占めているエビデンス取得にかかる工数も削減される見込みです」(亀井氏)
複数のインスタンスのプラットフォームをSAP HANAに移行した2017年以降には、Panayaの最新機能でSAP HANAデータベースにした場合のプログラムの影響を分析し、SAP HANAの性能をフルに引き出す高速化の実現を見据えている。「ブラックボックス化しているSAP ERPからピンポイントで影響部分を摘出するPanayaの機能は非常に有効であるし、テストエビデンスの取得などでの応用範囲も広いと思いますので、今後のさらなる機能強化に期待します」(亀井氏)

また、移行検討時からの構想どおり、今回のSAP HANA移行プロジェクトで培ったノウハウは、NEC独自の「マイグレーションサービス」として、2015年12月にリリースされた。このサービスは、NECのサーバー群やコンサルティングサービスと合わせてPanayaによる影響分析とテスト効率化ソリューションを提供し、企業におけるSAP HANAへの移行を総合的に支援していくもので、すでに多くの問い合わせが寄せられているという。

今回のプロジェクトで国内最大規模のSAP HANAプラットフォームへの移行を実現するNECは、社会ソリューション事業を軸とした成長戦略を加速していく。

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EhP7+SAP HANAのダッシュボード

会社概要

日本電気株式会社(NEC)

創業:1899年7月
資本金:3,972億円 (2015年3月末現在)
売上高:単独 1兆9,196億円 連結 2兆9,355億円(2014年度実績)
事業概要:パブリック、エンタープライズ、テレコムキャリア、システムプラットフォーム
http://jpn.nec.com/

パートナー企業

Panaya Japan株式会社