導入事例「タマホーム株式会社」

タマホーム株式会社
大規模SAPシステムをクラウドに移行し
インフラの全体最適と約40%のコスト削減を実現
住宅事業、不動産事業を手がけるタマホーム株式会社は、SAP ERPで構築した基幹システムの運用工数/コストの最適化に課題を抱えていた。そこで、株式会社インターネットイニシアティブ(IIJ)のクラウドサービスを採用し、大規模なシステム運用基盤をクラウド環境に移行。その結果、運用管理を大幅に簡素化し、「ITを武器にして、収益を生み出す」という、情報システム部門のあるべき姿を追求する体制を整えた。

事業の成長に合わせたインフラの全体最適化

賀来 義明 氏

賀来 義明 氏
タマホーム株式会社
経営統括本部
システム部 部長

1998年の設立以来、大手メーカーより単価を抑えた低価格住宅の施工、管理で業績を伸ばしてきたタマホーム。同社はIT基盤として、2008年にSAP ERPを導入して基幹システムを全面刷新した(採用したモジュールはFI/CO、SD、MM、PS、BW)。SAPシステムはオンプレミスのデータセンターで運用し、本社のサーバー室にある業務系システムと連携しながら、注文住宅の設計から施工までを一元管理していた。

しかし、以前の運用方法には3つの課題があったという。1つは運用管理で、事業の成長とともにハードウェアとソフトウェアのメンテナンス負荷が増大し、さらにさまざまな業務で属人化が進行していた。また、ハードウェアの故障などで計画外のコストが発生するためコストの最適化が難しい。さらに、個別最適化されたシステムが乱立し、スペックの過剰/不足も発生していた。

こうした課題を解決するため、タマホームはクラウドの導入を検討する。経営統括本部 システム部長の賀来義明氏は「インフラおよび機能の集約を図り、運用ルールを標準化することが狙いです。これにより例外処理が局所化され、コンプライアンス体制も維持されます。さらに仮想化技術や統合管理基盤の導入で、事業の拡大に応じたインフラが最適なコストで調達可能になります」と語る。その他にも、サーバー室のスペース不足、回線・電力・空調コストの負担、サーバー機器の老朽化に伴うパーツ提供の終了といったことも、クラウド化を後押しした。

業務改革の面からも、システムの統廃合と運用の見直しは待ったなしの状況だった。グローバルビジネスを展開するタマホームは、より機密性、信頼性、拡張性の高いシステムを必要としていたが、同社の情報システム部門には、それを実現する仮想化、ハード、ネットワーク、セキュリティの各分野を深く理解しているITの専門家はいなかった。そこで、

  • (1)実績とそれに裏付けられた確たる技術力と先進性
  • (2)使いやすく豊富なサービス・サービス全体での拡張性の高さ・可用性
  • (3)的確な説明・迅速な対応・わかりやすさ
  • (4)タマホームの抱える問題である「全体最適化」への意識
の4項目に条件を絞り、クラウド事業者の選定に入った。

自由度の高さ、クラウドの実績、ワンストップの対応力

クラウドの選定で挙げたポイントは、「コスト削減、信頼できるパートナーの選定、システム部門のあるべき姿への移行」だ。「システム運用はアウトソースして、情報システム部門は本来の業務に専念できる環境を整えることで、多くの経営課題の解決支援を目指しました」(賀来氏)

タマホームは、データセンター内のSAPシステムと、本社にあるSAPの開発環境、人事給与システム、業務システムなどを、同一のクラウドプラットフォームに移行することにした。当初、従来システムを手がけたSIerにこの要件を伝えたところ「三位一体(アプリケーション、データセンター運用、Basis)の推進体制が揃っていないとシステムの運用はできない」と回答があったが、同社は「本当にそうなのか?」と疑問を抱いたという。

そして、同社の疑問に答えたサービスが、VMware仮想化プラットフォームの「IIJ GIOコンポーネントサービス 仮想化プラットフォーム VWシリーズ(以下VWシリーズ)」だった。VWシリーズを含めたIIJのクラウドサービスは、SAP本社の認定を取得し、セキュリティレベル、運用に関するマネジメントレベル、基盤設備の堅牢性、サポート体制などSAPが設定した品質基準をクリアしている。

導入の決め手について賀来氏は、「VMwareの仮想化の管理画面を自社でコントロールしながら、OSや仮想サーバーを自由に運用できることが魅力でした」と振り返る。さらに、幅広いサポート、オンプレミスと同等以上の自由度、実績あるリソースプール、プライベート接続と他のGIOサービスとの連携がポイントになった。これらにより「持たざるプライベートクラウド」が実現し、既存資産の移行が簡単に行えて、ネットワークポリシーも維持できる。さらに、国内有数のクラウドベンダーで、クラウドを基盤としたSIを数多く手がけているIIJの実績と、ワンストップの対応力も心強く感じたという。

IIJ GIOコンポーネントサービス 仮想化プラットフォーム VWシリーズ(以下VWシリーズ)

オンプレミスを超えるパフォーマンスを確保

導入に向けて準備を進めたところで、新たな問題点が浮き彫りになる。SAPシステムの安定稼動のためには、一定のSAPS値(システムサイズを測定するための単位)が確保されていなければならない。そこで、クラウド環境で性能試験を実施したところ、1仮想ホストあたり数千~数万SAPSを実現するとともに、3万超のIOPSが確保されることがわかった。その結果、I/Oに起因する処理は従来比で最大330%、CPUに起因する処理も最大150%向上し、オンプレミスと遜色ない環境を確保することができた。

一方、導入中には、ベンダー各社の役割分担に関する交通整理が問題になった。そこでクラウドの実現性を見極める作業において、情報システム部門、SIer、IIJの3者が密に協議し、それぞれの役割を明確にするとともに、作業内容を一覧表にして整理。その中で、インフラ基盤の設計、構築、移行、障害対応などをすべて担当したIIJの技術力と柔軟な対応力は、大きな力を発揮したという。
「ネットワーク事業者としてのIIJの強みを活かした結果、設定変更を当初の想定よりも大幅に減らすことができました。膨大なデータをクラウドへ移行する際も、クラウド設備のあるデータセンターに個別ラックを用意して、データを持ち込んで移行作業ができる環境が提供されました。他の事業者では対応が困難な作業まで引き受けていただいたおかげで、停止時間を最小限にし、短期間での移行を実現できました」(賀来氏)

導入に要した期間は、準備から構築、移行を含めて約11カ月で、システム停止による移行期間は予備日を含めて2日確保したが、実際は1日で終了している。

情報システムの"あるべき姿"を追求

クラウドへの移行により、インフラの全体最適とコスト削減が実現した。ハードウェアの更新管理やソフトウェアのライセンス管理、煩雑な障害対応など、インフラ関係の窓口をIIJに一本化。運用ルールの統一化も進み、インフラ維持に投じていたコストは従来と比べて約40%削減されている。SAPシステム以外でも、メールポータルのクラウド化と、約20の業務システムのクラウド化は2014年6月までに完了した。

次のステップとしては、「ITを武器に収益を生み出す仕組みづくりを行う」というシステム部門のあるべき姿を構築していく考えだ。賀来氏は「プロジェクトを振り返ると、最終的には良いエンジニアと営業担当者に恵まれたことが成功につながりました。今後はクラウド化で生まれたリソースを活かし、攻めのIT戦略を進めていきます」と力強く語った。

会社概要

タマホーム株式会社

本社:東京都港区高輪3-22-9
創業:1998年6月3日
資本金:43億1,014万円(2013年5月10日現在)
売上高(連結):1,695億円(2014年5月期)
従業員数:3,166名(2014年6月1日現在)
事業概要:建築、設計、不動産業、保険代理店業
http://www.tamahome.jp/

パートナー企業

株式会社インターネットイニシアティブ
株式会社インターネットイニシアティブ