導入事例「科研製薬株式会社」

科研製薬株式会社
実績豊富な製薬業向けテンプレート「B-EN-Gp」を用いて
業務の集約と効率化を実現
理化学研究所をルーツに持ち、現在は関節機能改善剤などの分野で高い実績を誇る科研製薬株式会社。新たな分野への対応や業務の見直しを目的にSAP ERP導入を決断した同社は、東洋ビジネスエンジニアリング(以下、B-EN-G)の製薬業向けテンプレート「B-EN-Gp(ビーエンジ・ピー)」を用いて会計、販売、購買在庫システムを再構築。全国の支店で行っていた受注業務や経理業務を統合して業務の効率化を図るとともに、内部統制の強化や情報のリアルタイム連携などを進めている。

医薬品業界の業務プロセスに特化したERP導入テンプレートを評価

「整形外科」「皮膚科」「内科」といった領域を得意とする科研製薬。同社が基幹システムの再構築に乗り出したのは、30年以上にわたって運用してきたホストシステムの限界を見据えてのことだった。2000年代に入り、医療制度の変更やユーザーの要望など新たな領域への対応なども求められるようになったが、ホストコンピュータのプログラム改修でできることには限界があったという。また、日々の経理業務や、医薬品卸からの受注業務は全国に点在する支店が個別に行っていたため、データの集約や出納管理において業務の見直しをする必要があった。さらに当時、適用時期が迫っていたIFRS(国際会計基準)への対応とともに、内部統制の強化も課題だったという。そこで、「基幹システム刷新することで業務プロセスを全社的に改善し、業務の標準化を図ることにしました」と、同社 情報システム部長の関本幸男氏は導入の目的を振り返る。

同社は短期間のシステム導入を目指し、当初からパッケージ製品を採用する方針を立てた。複数製品で自社要件とのFIT&GAPを実施した結果、製薬業界への豊富な導入実績があり、販売・物流の機能へのフィット率を重視してSAP ERPを選択。さらに、導入パートナーとしてB-EN-Gが提案した製薬業向けテンプレート「B-EN-Gp」をベースに会計、販売、購買系のモジュール導入を決定した。B-EN-Gテンプレート選定の理由について、情報システム部 開発グループ 副主査の菊地新一氏は「製薬業界特有のロット管理に対応していたり、同一の医薬品卸企業と取引する場合でも、ルートの異なる医薬品と医療材料を別個に管理できるなど、当社が求める機能を備えていたことが決め手となりました。標準機能によるカバー率が高いためアドオン開発の工数が抑制でき、導入コストも最小限で済むB-EN-Gの提案を評価しました」と語る。

SAP ERPを核にワークフローシステムや帳票システムなどと連携

科研製薬では新基幹システムの構築に先立ち、経理、販売、購買の部門ユーザーにヒアリングを実施。同社の業務プロセスをSAP ERPに合わせる開発方針を伝えたうえで、部門ユーザーの要望を吸い上げた。会計モジュールの開発に関わった情報システム部開発グループ副主査 山下 氏はどうしても必要な要件だけは残し、無駄なものは省きましょうとユーザーに呼びかけた。その結果、「利用する帳票は従来の約400種類から約30種類に集約することができ、枚数レベルで約70%の削減が実現しています」と強調する。

本格的な開発は2011年4月に始まり、翌2012年4月から本稼働を開始した。科研製薬における開発プロジェクトのポイントは、コアとなるSAP ERPと、既存資産である生産システム、情報分析システム(DWH)、会計系ワークフロー、購買系ワークフロー、帳票システムなどを有機的に連携させたことにある。また、医薬品卸と同社との間で受発注データをやり取りする医薬品業界データ交換システム(JD-NET)とSAP ERPを連携し、データの流れを整理した。開発の約70%は周辺システムとの連携で、SAP ERP本体の追加開発は、同社独自の梱包単位(元梱)に基づく在庫引き当てと、会計処理における品目別原価管理などに絞られたため、工数の増加は発生しなかった。販売・物流モジュールの開発を担当した情報システム部 開発グループ 主任の中嶋清壮氏は「JD-NETからSAP ERPに受注データを取り込む際、従来のホストシステムではできなかったエラー時の再取り込みが、B-EN-Gpテンプレートの標準機能を使うことで可能になり、大幅に業務を効率化できました」と説明する。

本稼働の数カ月前からは業務部門のキーユーザーを中心に操作教育を実施し、新システムに移行してからも戸惑うことがないよう配慮した。ユーザー対応を担当した情報システム部 開発グループ 主任の谷真人氏は「我々情報システム部にとってもSAP ERPの導入は初めてだったので、B-EN-Gのコンサルタントから操作説明を受けながら勘どころをつかみました。ユーザー教育にはマニュアルを作成したほか、実際の画面を使いながら説明しています。本稼働後にユーザーから寄せられた改善要望に関しても、B-EN-Gのコンサルタントに相談し、代替機能の提案を受けながら対応しました」と振り返る。

科研製薬の導入プロジェクトがオンスケジュール、低コストで開発を終えたことについて、B-EN-Gの貢献があったことは高く評価されている。「年度切り替えの2012年4月稼働が絶対条件の中、予定どおりカットオーバーできたことが何よりの成果です。B-EN-Gのコンサルタントは製薬業界へのシステム導入経験が豊富で業務に関する話も通じやすく、コミュニケーションも良好でした」(関本氏)

全国8カ所の支店で行っていた受注業務を本社に一元化

SAP ERPを中心とした新システムの稼働から約1年が経過した現在、業務プロセスの改善と併せていくつかの効果が現れている。そのひとつが、業務の効率化だ。従来、JD-NETを通して全国8カ所の支店で行っていた受注業務を本社に一元化し、全体最適化を実現した。同様に、支店単位で行ってきた出納管理や、売掛金管理も統合され、財務情報がリアルタイムに確認できるようになった。
「年度決算は未実施ですが、今後、決算処理において時間短縮の効果が現れることを期待しています。また、データを蓄積していくことで、DWHを活用した財務指標分析なども可能になるでしょう」(山下氏)

販売業務の面では、販売実績値をほぼリアルタイムで見られるようになり、営業担当者による情報の活用効果が期待されている。在庫購買管理業務においても販売業務と同様の効率化が実現した。購買モジュールの開発を担当した情報システム部 開発グループ 主任の柴﨑伴之氏は「従来システムでは、医薬品と農薬品の2つで購買の発注フローが異なっていましたが、業務プロセスの見直しとSAP ERP導入を機に2つの発注フローを統一できました。また、買掛の管理も従来の月締めからリアルタイムに変わり、情報の可視化が実現しています」と語る。

SAP ERPと連携するフロントエンドのシステム開発を推進

科研製薬のSAP ERP導入プロジェクトメンバー

科研製薬のSAP ERP導入プロジェクトメンバー

科研製薬では今後、SAP ERPのコア領域についてはアプリケーション保守を外部に委託し、SAP ERPと連携する周辺システムは、業務要件に応じて自社開発を進めていく方針を掲げている。
「今回の開発では、会計ワークフローシステムにSAP ERPの仕入先マスター登録までの機能を実装しました。今後は製品マスターや価格マスターの自動連携機能を追加し、マスターのメンテナンス効率を高めていきます」と菊地氏は構想を明らかにする。

また、受発注データの交換に関しては、JD-NETに加えて医療材料機器業界データ交換システム(@MD-Net)との連携を進めていく考えだ。さらに、SAP ERPのユーザー権限変更に関するノウハウを自社で蓄積し、ユーザー変更時の対応を迅速化していくことも検討している。

「SAP ERPの運用が初めての当社にとって、学ぶべきこともまだ多く残っています。B-EN-Gには運用の効率化に向けて、さらなるノウハウの提供とサポートを期待しています」と谷氏が語ったように、今後も科研製薬のさらなるITイノベーションにB-EN-Gのノウハウと技術が貢献していくことは間違いない。

会社概要

科研製薬株式会社

本社:東京都文京区本駒込2-28-8
創業:1948年3月1日
資本金:238億5,338万円
売上高:879億9,700万円(2012年3月期)
事業概要:医薬品、医薬部外品、医療機器、動物用医薬品、農業薬品、飼料添加物の製造販売及び不動産の賃貸
http://www.kaken.co.jp/

パートナー企業

東洋ビジネスエンジニアリング株式会社
東洋ビジネスエンジニアリング株式会社

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