導入事例「ケンコーコム株式会社」

ケンコーコム株式会社
クラウドサービス上に基幹システムを構築し
約65%のITコスト削減を実現
国内最大規模のECサイトで、健康食品や医薬品を中心に幅広い商品を展開するケンコーコム株式会社。同社はシステム基盤強化に向けて、アマゾン ウェブ サービス(以下、AWS)のクラウド環境にSAP ERPを構築した。株式会社NTTデータグローバルソリューションズが提供するテンプレートを活用してわずか約10カ月で導入を完了。クラウド環境への移行により、導入および運用コストを大きく削減したほか、データのリアルタイム化によって効率性も高めている。

急成長するECビジネスを支える基幹システムをクラウド上に構築

新井 達也氏

新井 達也氏
ケンコーコム株式会社
取締役 IT本部長

健康食品、医薬品、スポーツ用品など約20万点(2013年1月時点)の商品を取り扱っているケンコーコム。ECをビジネスの柱とする同社にとって、ITシステムの強化と安定運用は常に重要な課題だ。2011年3月の東日本大震災をきっかけに、同社は事業継続の観点から、システムのクラウド運用に本腰を入れることになる。同年7月には、ECサイトや在庫管理システムなどを、自社運用のオンプレミス環境から、AWSによるクラウド環境に移行した。

一方、会計、購買、販売管理の業務を行う基幹系システムは個別に存在し、オンプレミスでの運用を続けていた。しかし、ビジネスが成長して商品数や顧客数が増えるとともに、個別システムの増強に限界を感じるようになる。社内で運用する複数のシステム連携時に発生する不整合や、メンテナンスの負荷も課題となっていた。同社の取締役でIT本部長の新井 達也氏は、「システムがビジネスの成長を妨げる足かせにならないためにも、基幹システムの統合が必要と考えました」と振り返る。

基幹系システムの刷新を検討した同社は、実績と将来性を評価してSAP ERPを採用し、AWS上に構築することを決断した。
「ビジネススピードを重視する当社にとって、柔軟性の高いクラウドの活用は大きなメリットです。当社は2009年から商品画像の保存にAWSの利用を開始し、2011年にはECサイトなどをAWSに移行しました。こうした中で安定運用ができるという確信を得ていましたから、基幹システムもAWS上に構築するのは自然の流れでした」(新井氏)

ITリソースを共同利用するクラウド環境上にSAP ERPを構築することについて、パフォーマンスやセキュリティを不安視する声も少なくない。しかしAWSではプライベートで独立したセクションを確保することができ、SAP ERPはその中で運用されるため、セキュリティリスクが及んだりすることはない。新井氏は「クラウドを利用することで、自社で複雑なセキュリティ環境を用意する手間を省けるメリットのほうがはるかに大きいと思います。AWSはISMSやPCI DSSといった高度なセキュリティ要件を満たしているので、基幹システムを導入することにも不安はありませんでした」と語った。

開発環境やテスト環境を柔軟に構築できるクラウドのメリットを活用

SAP ERPを導入するにあたり、ケンコーコムは開発パートナーにNTTデータグローバルソリューションズを選定した。新井氏は「スピード感を重視するECビジネスでは、柔軟で俊敏な姿勢が必要です。その点、NTTデータグローバルソリューションズの柔軟性と機敏性を重視したプロジェクトマネジメント体制は当社の要望にマッチしていました。中小・中堅企業やECへの実績と経験が豊富なことに加え、システム構築の技術力も高く、パートナーとして最適と判断しました」と語る。

NTTデータグローバルソリューションズが提供するテンプレート「専門商社向けモデルシステム(BMT)」が、同社の会計、購買、販売管理の業務とフィットしていたことも選定の決め手になった。テンプレートと共に提供するデータ連携ソリューションを用いると、SAP ERPと周辺システムとの連携がノンプログラミングで可能で、インターフェースの開発工数が大幅に削減できる。また、同時に提供するオープンソースのシステム監視ツールが、ケンコーコムが必要とするジョブ監視やスケジューリング機能などを標準で組み込んでいることもポイントとなったという。

SAP ERP導入プロジェクトは2011年10月にキックオフし、2012年8月から本稼働を開始した。クラウドならではのメリットをフルに活用し、わずか10カ月という開発期間で導入を終えている。まず、クラウドを利用することでハードウェアの調達時間とサイジング工数を大幅に圧縮。要件定義の段階でAWS上に構築したプロトタイプ環境を、引き続き開発環境として利用。テストフェーズでは、開発環境と別にテスト環境をAWS上に新たに構築し、開発環境に負荷をかけることなく効率的にテストを実施。さらに、システムに大きな負荷がかかるデータ移行時は、一時的にシステムリソースを2倍に拡張。移行時間を短縮することでシステム停止時間を最小化し、業務への影響を最小限に抑えることができた。

初期導入費用とシステム運用工数を大幅に削減

笹葉 謙氏

笹葉 謙氏
ケンコーコム株式会社
ERP推進室長

クラウド環境を活用してSAP ERPを導入したケンコーコムでは、さまざまな効果を実感している。新井氏は「初期導入費と5年間の運用費の合計額で比較をすると、オンプレミスと比べて約65%のコスト削減が実現しています」と明らかにする。また、サーバの集約によって管理者の運用工数も大幅に削減され、空いた人的リソースを、データ分析、システムへの新機能追加といった戦略的な業務に振り分けることが可能になった。オンプレミスでは、ハードウェアの調達やサイジングにベンダーとの交渉が発生するが、AWSならこうした工数は一切ない。故障の際にもデータセンターへの立ち会いなどが不要となり、大幅に運用負荷が軽減される。

業務面で得られた成果も少なくない。SAP ERPの導入により、会計情報、発注情報、在庫情報などの一元管理化と可視化が実現。日次で締めて評価単価と在庫を割り出していた粗利や売上原価のリアルタイムでの把握が可能となり、正確な情報をもとにスピーディな判断が下せるようになった。以前の環境では、経理在庫と、倉庫が持つシステム在庫をバッチ処理で整合処理を実施したが、SAP ERPによって連動処理が実現し、修正在庫は即座に反映される。ERP推進室長の笹葉謙氏は「在庫の可視化によって仕入先からの問い合わせに対して、素早い回答ができるようになった成果は大きい。

さらなるシステム連携強化と大量データ分析を推進

ケンコーコムでは今後、さらにシステムの強化を図っていく予定だ。SAP ERPをはじめ、さまざまな業務システムに蓄積されていくデータを活用するため、データウェアハウス(DWH)の導入を検討。SAP ERP以外のデータもDWHに集約し、分析やレポートを強化していく。第2ステップとして、ビジネスのコアとなる販売管理と倉庫管理システムを全面刷新し、SAP ERPとのデータ連携を実現させるほか、現在オンプレミス環境で稼働しているシステムに関しても、タイミングを見ながらAWSへの移行を目指す。

NTTデータグローバルソリューションズでは、ケンコーコムを筆頭にAWS上へのSAP ERP構築から、導入後のパフォーマンスモニタリング、アラート機能の活用まで、AWSに関するノウハウを着実に蓄積している。今後もAWSへの移行を検討するSAP ERPユーザーを積極的に支援していく考えだ。

会社概要

ケンコーコム株式会社

本社:東京都港区
設立:1994年11月
資本金:20億2268万円(2012年6月19日現在)
事業概要:医薬品、健康関連商品の通信販売
http://www.kenko.com/

パートナー企業

株式会社NTTデータグローバルソリューションズ
株式会社NTTデータ
グローバルソリューションズ