導入事例「ジャトコ株式会社」

ジヤトコ株式会社
地域と企業の枠を超えたシームレスな品質管理をクラウドで可視化
海外のサプライヤーから迅速に品質データを入手したい。サプライヤーの増加に伴い、リスクマネジメントの手法を模索していたジヤトコ株式会社は、クラウド型BIサービス「SAP BusinessObjects BI OnDemand」の利用により、柔軟性の高い品質管理システムの構築を短期間かつ低コストで実現した。

CVT市場で世界48%のトップシェアを誇る自動車部品メーカー

ジヤトコは、自動車用の変速機製品を中心に製造・販売を手がける自動車部品メーカーだ。特に、1996年以来取り組んできたCVT(無段変速機)では、世界で48%というトップシェアを誇るリーディングカンパニーである。

同社では、メキシコ、中国に生産拠点を置くほか、韓国、米国、フランスに拠点を置いており、グローバルな要望に迅速かつフレキシブルに対応している。すべての工場で生産される製品の品質は、同社独自の生産方式(JEPS:Jatco Excellent Production System)によって高いレベルに保たれている。さらに、2013年の完成に向けてタイの生産拠点にも着工するなど、グローバル展開を加速させている。

高まる新興国サプライヤーの品質管理の必要性

佐藤 朋由 氏

佐藤 朋由 氏
ジヤトコ株式会社
執行役員

同社では新興国のサプライヤーから供給される部品の品質の維持が重要な課題となっていた。これまでは品質の高い国内のサプライヤーの管理をしていれば品質を保つことができたが、グローバル展開に伴い新興国のサプライヤーの管理が必要となってきたためだ。新興国のサプライヤーからの部品は国内品と比べるとばらつきが多く、距離や時差の問題があるため、品質がどのような形で維持されているかなかなか把握することができなかった。

同社執行役員 佐藤朋由氏は、次のように語る。「サプライヤーとは品質データを提供する契約を結んではいましたが、データの提供までに時間のかかるサプライヤーも少なくありませんでした。品質確保のために、システム化も含めさまざまな方法についての検討を行っていました」

同社ジヤトコウェイ推進室 主担の三角武史氏は、「多くのサプライヤーは、工程の節目で紙のチェックシートを使い品質情報を記録しています。データ提供が必要となると、まず記録したチェックシートの情報を、PDF化やExcelに転記し、その結果をFaxまたは電子メールに添付して送っていました。そのため、データ提供までに数週間かかるサプライヤーもあったのです。さらに、提供されたデータを当社内で再びExcelに入力して分析する必要があるなど、双方にとって非常に手間と時間がかかる作業となっていました」とデータ提供について語る。

導入期間の短さと柔軟性の高さを評価

浅井 正克 氏

浅井 正克 氏
ジヤトコ株式会社
CIO 情報システム部 部長

さまざまなシステムを検討した結果、同社が採用したのが、富士通のクラウド型BIサービス「SAP BusinessObjects BI OnDemand」(以下、BI OnDemand)だった。

同社CIO情報システム部部長の浅井正克氏は、「品質管理体制を迅速に確立するため、短期でシステムを構築する必要がありました。また、世界中のサプライヤーに利用してもらうためシステムに柔軟性が必要だったことから、クラウド型BIサービスのBI OnDemandが適していると判断しました」と採用理由について語る。

佐藤氏も、「当社では、現在約5,600億円ある売上を2018年までに1兆円までに倍増させる計画を立てています。そうなると、サプライヤーの数もまだまだ増えていくため、今後に向けてクラウドの実力を試してみたかったというのもあります」とクラウドに期待を寄せる。

三角氏は「BI OnDemandは、Excelとインターネットがあればすぐに利用できるので、追加のシステム投資が不要です。そうした点も、サプライヤーの理解を得やすいだろうと考えました」と語る。

システムの理解を促進したプロトタイプの画面

山中 隆功 氏

山中 隆功 氏
ジヤトコ株式会社
ジヤトコウェイ推進室

同システムは、サプライヤーとともに利用するシステムであるため、導入に際してはサプライヤーの説得が不可欠だった。交渉にあたった同社 ジヤトコウェイ推進室の山中隆功氏は、次のように語る。「サプライヤーは、データ提供に時間がかかっていることは認識していても、システム導入の必要性までは理解を得られることができませんでした。そんな中、富士通が用意したプロトタイプが役に立ちました。画面を見ながら説明することでどんなシステムなのかイメージしやすく、サプライヤーにもメリットの大きいシステムであることを理解してもらえました」

可視化された品質状況をリアルタイムに確認

三角 武史 氏

三角 武史 氏
ジヤトコ株式会社
ジヤトコウェイ推進室 主担

同社では、2011年7月にBI OnDemandの導入を決定したあと、8月にトライアルを開始し、10月中旬から本稼動を開始した。現在は、海外サプライヤー1社との品質管理に利用している。

Excelで作成した品質データがサプライヤーからBI OnDemandにアップロードされると、即座に管理図として可視化されるので、ダッシュボードを通じて品質状況をリアルタイムに確認できる。規格や管理条件を外れた時に、アラート表示されるので迅速に対応でき、効率的でスピーディーな品質改善サイクルが実現できる。同システムの利点について三角氏は「データだけでなく、データにひもづけられた形でコメントを共有できるので、品質の変化の理由がすぐにわかり、頻繁に問い合わせをする必要がなくなりました」と語る。

5分の1の導入コストで劇的な品質改善を実現

導入効果について佐藤氏は、「データを入力すればすぐに結果が得られ、同じデータを見ながら話せるので、サプライヤーとのコミュニケーションがスムーズになりました。実際、それまではたびたびあった品質面でのトラブルも、システム導入後はこの3ヶ月間で1件と激減しており、確実に品質改善につながっています。システム自体の効果に加えてサプライヤーの品質に対する意識改革も進んだ結果の複合的な効果と考えています」と品質、意識の相乗効果を語る。

浅井氏は、「同様のシステムをオンプレミスで構築していたら5倍のコストがかかっていました。また、仕様決定まで3週間という短期間でテスト運用にこぎつけることもできなかったと思います」と、導入コスト削減や迅速なシステム構築にも大きな効果があった点を強調する。

さらに佐藤氏は、「品質改善はもちろん大きな効果なのですが、それよりも大きいと感じているのはサプライヤーとの信頼関係が築けたことです。双方にとってwin-winのソリューションだったと実感しています」と効果を振り返る。

加えて、環境にやさしいCVT製品の開発に取り組む同社にとって、紙をベースにした品質管理からの脱却は環境負荷低減という点でも効果があったという。

他のサプライヤーにも適用し、全体的な品質向上を目指す

浅井氏は、「今後は特定のサプライヤーだけで利用するのではなく、多くのサプライヤーに利用してもらうようにしていきます。その作業を繰り返す中で、全体的な品質レベルの向上を目指したいと思っています」と語る。

浅井氏は、「同様のシステムをオンプレミスで構築していたら5倍のコストがかかっていました。また、仕様決定まで3週間という短期間でテスト運用にこぎつけることもできなかったと思います」と、導入コスト削減や迅速なシステム構築にも大きな効果があった点を強調する。

また浅井氏は、「今回のシステムはスモールスタートで導入しましたが、クラウドの良さを十分に体感できました。今後はこの経験を活かして、他のシステムでも活用できないか検討しているところです」と品質管理システム以外での利用についても意欲的だ。

クラウド型BIサービス「BI OnDemand」は、拡張性が高く、短期間でのシステム構築に大きな効果を発揮する。富士通は、お客様のご要望に応えられるように、BI OnDemandの向上に一層努力していく。

ジャトコ株式会社 システム構成図

導入企業プロフィール

ジヤトコ株式会社

本社:静岡県富士市
設立:1999年6月
事業概要:変速機及び自動車部品の開発、製造及び販売
http://www.jatco.co.jp/

パートナー企業

富士通株式会社