サポーターソリューション「三井情報株式会社」

三井情報株式会社
SAPの各種サービスを活用して
共通基盤へのシステム統合を迅速&高品質に実現
三井情報株式会社(以下 MKI)は、三井物産株式会社の事業部内基幹システムを同社グループの共通基盤であるSAP ERPおよびSAP NetWeaverプラットフォームに統合するプロジェクトにおいて、SAP Value Prototyping(VPT)やSAP MaxAttentionなどのサービスを徹底活用。スピードとコストの目標をクリアしながら、高品質なシステム移行を実現したプロジェクトを通じて蓄積されたノウハウが、今後のユーザー支援に大きく活かされようとしています。

将来戦略に基づく全社共通基盤への移行

日本を代表する総合商社であり、長年にわたってSAPソリューションのパワーユーザーでもある三井物産は、2008年から次世代経営基盤として新基幹システム「MIRAI」を構築しました。全社統一基盤の完成に続いて、現在は営業部門ごとに個別に運用されてきたシステムを順次「MIRAI」上に移行、統合する作業を着々と進めています。

三井物産グループの一員であるMKIは当初から「MIRAI」開発に携わっており、今回手がけた鉄鋼製品本部 基幹システムの移行プロジェクトも、そうしたロードマップ上にありました。プロジェクトではシステムの全社運用/保守への集約を図るため、以下の3つが合理化のポイントとして掲げられました。

  1. 全社共通基盤による運用体制を最大限活用
  2. 「国内システム」と「貿易システム」を統合
  3. 鉄鋼製品本部グループ(鉄鋼製品本部と三井物産スチール)内で「物流営業システム」と「会計システム」を統合・共通化

具体的な目標が決まったものの、移行にあたっては大きな問題が待ち構えていました。特に国内システムと貿易システムは16~17年間運用されてきたためシステム自体の更新維持が困難になっていたことに加え、保守運用も別々のシステム会社が行ってきたため管理業務に関わるリソース効率化も難しい状況になっていました。さらに、業務プロセス上の承認行為をシステム機能で100%カバー出来ず、紙の書類による処理が継続されていたことから、システムによる内部統制担保が急務でした。鉄鋼製品本部と三井物産スチールで業務プロセスの統一することに因り、システム仕様を共通化していくことも合理化の大きなポイントでした。

またその他にも課題となっていたのが、これらのシステムに含まれる450本ものEDIインターフェースの本数でした。これらのインターフェースは何度となく新基幹システムへの移行が検討されながら、これだけの数を問題なく移行できるか技術的な確証が得られず、なかなか踏み切れなかったという事情がありました。アーキテクチャ刷新や内部統制の対応に加え、この大規模な EDI の移行をどう実現するかという課題に、MKIは精力的に取り組みました。

JSUG_MKI_zu.png

クリックすると拡大します

SAP Value Prototyping(VPT)の活用で開発スピードと高い品質を両立

EDI フロントの移行が控えていました。450本ものインターフェースをどう再現するか検討した結果、SAPシステムとの親和性が高く、さまざまなシステム間連携/プロセス間連携に対応するSAP NetWeaver Process Integration(SAP NetWeaver PI)を利用することに決定。しかし日本国内での活用実績がきわめて少ないSAP NetWeaver PIで、期待通りのパフォーマンスが得られるか慎重に検討を重ねたといいます。

そこで突破口として浮上したのがSAP Value Prototyping(VPT)の利用による工数削減です。インターフェースごとの設計/開発ではなく、共通処理を洗い出し汎用モジュール化を進める方針を採用。いったんSAP NetWeaver PIの仕組みを構築した後は、設定を変更するだけで何本ものEDIを容易に移行できるため、大幅な工数とコストの抑制につながります。MKIのメンバーはドイツのSAP本社に行き、専門チームによるナレッジトランスファーを受けました。この結果、設計/開発からテストまでの工程を、この規模の移行としてはかなり早い1年半強で完了します。

VPT の利点は、SAP本社のエキスパートによるプロトタイプ作成できわめて高い作業効率と品質を得られる点です。また実際にシステムを作って動かしてみることで、ユーザーと具体的な問題点や仕上がりイメージを共有できるため、机上設計だけでは得られない大きなメリットが得られます。

また、SAP Active Global Support(SAP AGS)による高度な技術支援サービスが提供されるSAP MaxAttentionの活用もポイントです。MKIではEDIインターフェースの移行に際し、単体テストを終えた早い段階からSAP MaxAttentionのVolume Attention Optimizationサービスを利用したパフォーマンステストを実施。移行後も十分なパフォーマンスが確保できることを証明できたため、三井物産のプロジェクトチームは安心して移行を決意できたといいます。他にも、SAP Business Process Performance Optimizationなどを活用し、パフォーマンスや技術のさまざまな課題を解決していきました。

また、移行プロジェクトの開始は、2011年2月。設計書が十分に整備されていないところもあり、ソースコードからリバースエンジニアリングで起こした設計書をもとに、実際の機能と突き合わせる作業から始まりました。一方で納期は厳密に決まっているため、一刻も早くシステムを作ってテストを開始しなくてはなりません。そこで旧システムと同一の環境を作って、1.5ヶ月分のデータを処理するというプロセスを繰り返し、新しいシステムが完全に機能再現できるかを検証しました。これが開発における最大の関門となりました。

高度なシステム品質を確保しながら、開発・運用のTCOを削減

今回のプロジェクトにおいて、MKIは以下のような点に大きく貢献しています。

1. 大規模プロジェクトの効率的なマネジメントとコスト効果
開発手法の改革、徹底した要員管理に加え、SAPの提供する各種サービスを積極的に活用。大規模システム開発に伴う高度な技術要求や迅速なプロジェクト進行、プロジェクトマネジメントによるコストの大幅な圧縮

2. 保守運用の効率化
国内システムと貿易システムの統合により、問い合わせや保守の窓口を一本化。人員配置の最適化とコスト削減を実現

3.監査対応の負担軽減
保守運用時の管理基準をMIRAI共通ルールに統一しSAP提供の管理ツールの利用により、保守運用作業の一元管理が可能となり、監査対応の効率化を実現。ユーザーの監査業務に関する負荷を大幅に低減

MKIでは三井物産の移行プロジェクトを通じて、特にVPT の効果やメリットを深く実感したため、自社内へのSAP 導入プロジェクトでもVPT を活用し、現在急ピッチで開発を進めています。これは、SAP の提唱するアナリティクス、アプリケーション、モバイル、クラウド、データベース&テクノロジーという5つの柱をフル活用するという、MKIにおける将来戦略の実現プロセスの一環でもあります。このプロジェクトを一刻も早く完成させるとともに、SAP HANAなど新分野にも積極的に取り組むことでユーザーの課題解決に貢献できるナレッジを蓄積し、SAP 製品導入におけるMKIの総合力をアピールしていく構えです。

*今回のプロジェクトにより、MKIは「SAP AWARD OF EXCELLENCE 2013」においてProject Awardを受賞しています。

パートナー企業

三井情報株式会社
三井情報株式会社