成功事例「株式会社沖データ」

株式会社沖データ
基幹システムの運用アウトソーシングにより
ITコスト効率化とグループのガバナンス強化を実現
プリンタと複合機の専業メーカーとして、世界120の国と地域で事業を展開する株式会社沖データ。同社はITコストの効率化とグループのガバナンス強化を目的に、ウィプロ・テクノロジーズの提案を受け、2010年4月よりグループ主要30拠点の基幹システムについて、運用/保守/開発のアウトソーシングを決断。ウィプロのオフショアシェアードサービスを活用し、SAP ERPにおけるグローバルオペレーションの最適化を実現している。

SAP ERPの価値最大化に向けて運用体制の改革に着手

坪川 裕氏氏

坪川 裕氏氏
株式会社沖データ 管理統括
(経理/人事/経営情報/監査)
常務理事

先進的なプリンティングテクノロジーを世界で展開する株式会社沖データは、1981年に世界初のLED光源を使用したページプリンタを開発して以来、独自のDigital LED技術を核に、プリンタの技術革新をリードし続けている。昨今では接着剤を使わずに半導体材料を接合する「エピフィルムボンディング技術」を実用化。経済産業省から表彰を受けたこの最新技術は、自動車メーカーをはじめ、他の産業分野でも応用が始まっている。

こうした技術力をベースに、世界39カ国に69拠点を擁しグローバルビジネスを推進する同社は、米州、欧州の販売拠点で採用していたSAP ERPを本社(日本)にも導入し、基幹システムを整備してきた。

しかし、システムの開発/運用は各拠点の専門スタッフに委ねられていたため、人件費を含むITの総コストは増加の一途をたどっていた。また、同じSAP ERPであっても、拠点ごとに異なるコード体系や勘定科目による運用を行っていたため、経営判断に必要となるデータを一元化できないなど、ITガバナンスに関する課題も顕在化していた。

そこで沖データは、ウィプロ・テクノロジーズの協力を得て、基幹システム運用/保守/開発体制の抜本的な改革に着手する。同社の常務理事であり、CFOとCIOを兼務する坪川裕氏は、直面していた状況について次のように説明する。
「一言でいえば、ビジネスのグローバル展開を支えるIT基盤が脆弱であったということです。各拠点でそれぞれ行われている運用体制が高コスト化や情報の分断を招いていることは認識していましたが、詳細を掌握しきれていませんでした。そこで第三者の視点から、俯瞰的に当社の課題を洗い出してもらいたいと考えました。また、世界各国で豊富な実績をもつウィプロからの提案により、グローバルスタンダードに即したシステム運用の方向性を見きわめられると期待しました」

緻密なデューデリジェンスを経て、オフショアシェアードサービスの活用を決断

2009年4月、まず欧州における簡易デューデリジェンス(現状調査:以下DD)が開始された。この資料ベースで行われた簡易DDを通じて明らかになったさまざまな問題点は、沖データのIT運用における改善の余地を示す十分な内容だったという。その後、同社はアジア、米州、欧州で稼働中のSAP ERPに関して詳細なDDをウィプロに正式に依頼。一方、改革の効果を高めていくためには、社内の体制にも変化を促していく必要があることから、同年7月、グローバルでのITコスト効率化を目的とする「IT改革プロジェクト」を発足させる。

福岡 広行氏

福岡 広行氏
株式会社沖データ
構造改革プロジェクトチーム
プロジェクト・マネージャ

同年9月にウィプロから報告された正式DDの報告を受け、プロジェクトは「ITコストの効率化」と「ITグループガバナンスの強化」という2つの目標を明確化した。続いて、沖データとウィプロの両社はSLA(Service Level Agreement)を定めるとともに、3拠点のIT責任者を交えて、業務移管の方法やリスク対策などを検証した。

ポイントとなったのが、オフショア・シェアードサービスの手法としてウィプロが提案する「フレックス・デリバリーモデル」の実効性だ。これは、対象となる3拠点を統括する総合サービスデスクを設置するとともに、オンサイト(各拠点)のコアチームと連携するオフショア(インド)のフレックスチームがSAP ERPのモジュール単位で運用/保守を支援する運用モデルである。コスト削減の有効性とサービスレベルを確かめるため、プロジェクトメンバーはオフショア拠点となるウィプロのフレックス・デリバリー・センターを見学して具体的な体制を把握するとともに、日本・米州・欧州におけるウィプロの顧客企業に各拠点の責任者がヒアリングを行い、運用効果を綿密に確認した。

2010年1月からは業務移管を順次開始し、わずか3カ月後の4月12日には、新体制による本稼働が実現した。沖データがグローバルに展開する販売会社および工場で運用しているSAPシステムの全モジュール(生産管理を含む)がウィプロのチームによってサポートされており、日本拠点のサポートメンバーは国内の福島工場に加え、タイと中国の工場のSAPシステムの保守も手がけている。構造改革プロジェクトチームのプロジェクト・マネージャである福岡広行氏は、ウィプロの行動力と提案力を高く評価する。
「わずか2カ月で海外を含めたDDを実施し、実現性の高い提案を受けたことがプロジェクトを大きく後押ししました。提案には目標値に対するコミットメント条件も含まれており、投資効果を踏まえた上でのプロジェクト推進ができたと評価しています。また、3カ月という短期間での移管作業でも、チーム一丸となった有言実行の姿勢を実感しました。私は海外での調査/視察にも同行しましたが、ウィプロは常に課題に真摯に向き合い、確かな行動力と提案力で解決策を提示してくれました」

グループ全体でのIT戦略策定を推進

大堀 和男氏

大堀 和男氏
株式会社沖データ
経営情報部 部長

2010年4月の本稼働から1年が経過し、沖データは当初の目標である運用コスト30%削減をクリアしている。また、ITガバナンスの強化や情報の品質向上という目標においても期待通りの効果が発揮され、主要拠点の1つである米州のプロジェクト評価では、IT部門・ユーザー部門を含めたインタビューで、ほとんどの項目において7段階評価の「6」以上という満足度を達成している。

なお、同社ではこのプロジェクトを契機に、グループ横断のIT戦略統括組織として「OKIデータグループIT委員会」、実行組織として「IT企画チーム」を設置し、IT計画/コストの最適化を図っているが、そこにもコンサルタントとしてウィプロのメンバーが参画している。

同社の情報システム部門である経営情報部 部長の大堀和男氏は、アウトソーシング後の変化を次のように感じている。
「システムがどのように運用され、どのようなデータが流れているかを本社側で系統的に把握できるようになったため、現状の課題や目標を明確化し、計画に反映していくことが可能になりました。また、データの整合性も担保されるようになったので、次のステップとして、経営の意思決定を支援する情報提供に取り組んでいきたいと考えています」

グローバル競争力を積極的に支えるITを目指して

八木 将樹氏

八木 将樹氏
ウィプロ・テクノロジーズ
テクノロジー事業部
ビジネス・アドバイザリー・
サービス担当 マネージャー

沖データにおけるアウトソーシングの活用領域は、次の段階へと進みつつある。今後はグループウェアやCRM、ITインフラなど基幹システム以外の領域でも、ウィプロとのパートナーシップをもとに改革を進めていくことが決まっており、そのためのDDも開始されている。

今回のプロジェクトを中心となって手がけたウィプロ・テクノロジーズ テクノロジー事業部ビジネス・アドバイザリー・サービス担当マネージャーの八木将樹氏は、ウィプロのポジショニングについて次のように語る。
「単にお客様の負荷を軽減し、コスト削減を実現するだけではなく、お客様のシステムの価値を向上させるパートナーであることを目指しています。今後もグローバルで展開しているサービスの成功例を踏まえて、より積極的な提案活動を行っていきます」

一方、沖データのIT運用を統括するCIOの観点から、坪川氏はIT部門の今後に次のような期待を寄せる。
「これまでは、ユーザー部門からの要望に応えるという受け身の姿勢が強かったように思えます。今回のプロジェクトによってさまざまな課題が解消されつつある現在、ITにはグローバルビジネスにおける競争優位性を牽引する役割を担って欲しいと思っています」

SAP ERPのアップグレードやさらなる情報活用など、今後沖データが取り組むべき課題は少なくないという。あらゆる場面で、経験豊富なウィプロの存在は、ますます重要性を増していくに違いない。

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導入企業プロフィール

株式会社沖データ

本社:東京都港区芝浦
設立:1994年10月1日
資本金:190億円(2010年3月31日現在)
事業概要:プリンタ・複合機の製造・販売
http://www.oki.com/jp/

パートナー企業

ウィプロ・テクノロジーズ