成功事例「中外製薬株式会社」

中外製薬株式会社
証憑の電子化とアーカイブにより
SAP ERPと連携した効率的な証憑管理を実現
独自性の高い医薬品の製造/販売/輸出入を展開する中外製薬株式会社。同社はスイスの世界的製薬会社であるロシュ・グループの一員となったことを契機に、SAP ERPを導入した。並行して、証憑の電子化とアーカイブに取り組み、オープンテキスト株式会社のアーカイブソリューションを採用。効率的な証憑管理によりコンプライアンスを強化するとともに、SAP会計伝票とのシームレスな連携を実現している。

管理業務のシェアードサービス化とともに証憑管理の新たな仕組みを追求

中外製薬株式会社では、がん、腎、骨・関節、糖尿病、感染症の分野を戦略領域と位置付けている。化学合成技術に加えて、最先端のバイオ・抗体技術や標的分子探索技術を駆使しながら、ロシュ・グループにおける提携関係のもと、革新的な医薬品とサービスを世界に提供している。

システム面においては、ロシュとの連携強化ならびに企業価値の向上を目的に、SAP ERPをビッグバン導入している(2005年1月から運用を開始)。その一方で、1999年より、経理・人事・総務のサービス業務を子会社であるCBSに集約してシェアードサービス化を図ってきた同社は、証憑の管理についても、新たな基幹システムと効率的に連携できる仕組みを模索していた。

そこで着目したのが、オープンテキスト株式会社の「OpenText Document Access for SAP Solutions(以下、Document Access)」だった。このソリューションは、構造化されたSAP ERPのデータはもとより、SAP以外のビジネス文書や紙の書類などの非構造化データを含めてアーカイブし、SAP ERPとシームレスに連携した一元管理を実現する。現在ではSAPのソリューションエクステンション(拡張ツール)の1つとしても認定されており、SAP ERPとの高い親和性が実証されている。

同ソリューションの管理・運用を担当する情報システム部 コーポレートシステムグループ 経理チームの石橋成滋氏は、導入の経緯を次のように説明する。
「当社では、すべての経費精算申請がワークフローを通じて行われており、会計承認に当たっては、紙の伝票を正として全伝票を証憑書類と照合していました。そのため、会計承認を担当するCBSでは、紙の証憑のチェックに加えて、ワークフローにおける電子承認をチェックするという二重のプロセスが発生していました。また、監査時には、財務経理部門や予算統括部門からCBSに問い合わせが集中します。その都度、現物証憑の検索に時間を割かなくてはならず、大きな作業負荷が生じていました。業務の面でも、遠隔地にFAXなどで現物証憑を送る場合にはある程度のタイムラグが発生するため、効率的とはいえません。そこで、紙ベースでの承認を電子上に反映できる仕組み、遠隔地からでも証憑内容を確認できる仕組みを築きたいと考えました」

スキャニングを含めた課題解決により導入後の最適な運用を実現

中外製薬における証憑管理ソリューション導入プロジェクトの推進体制は、SAP ERPの財務会計チームとワークフローチーム、インフラチームから編成され、各チームに外部の専任コンサルタントを配置するとともに、オープンテキストから技術支援を受けた。

「SAP ERPの導入プロジェクトと並行して開発を実施し、実際の業務プロセスと照合しながら仕組みを構築していきました。SAP ERP、ワークフロー、そして証憑アーカイブと、3つの異なるシステムを有機的に連携させていくには、全体的なコミュニケーションを密にする必要がありました。その意味で、オープンテキストは自社以外のシステムに対する理解力も高く、見事な調整力を発揮してくれました」(石橋氏)

また、CBSのメンバーも、財務会計チームの一員として積極的に参加し、テストを繰り返す中で運用上の課題を抽出。その多くは、スキャニングに関するものであったため、プロジェクトではスキャニングの効率を最大化する証憑の提出フォーマットを策定し、その普及に努めた。

同時に運用面では、大量処理が必要とされるスキャニング担当者の業務上のストレスを可能な限り軽減するために、スキャニングの解像度とスピードに関しても綿密な分析と検証を行い、最適化を図っていった。

「提出フォーマットの統一については当初、申請を行う業務部門からの抵抗もありましたが、会社全体の業務標準化、BPRに関わることとして粘り強く説得しました。現在ではスキャナ6台を使って、通常は2名体制、繁忙期は最大4名で、1人当たり1日2,000枚~3,000枚の処理が可能となり、月当たりで伝票約25,000枚、証憑約95,000枚の生産性を実現することができました」(石橋氏)

SAPの会計伝票画面からダイレクトに証憑の照会が可能

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Document Accessの導入により、証憑の照会はSAP ERPの会計伝票画面から、まさにワンクリックで行えるようになった。証憑とSAP会計伝票とのマッチングの仕組みは、次のとおりだ(右図を参照)。

申請者が精算入力を行い、ワークフローを通じて決裁者の承認を受けた上で、SAP ERPの伝票が作成される。この際、申請者はワークフローの機能により、バーコード付きの台紙を印刷し、必要書類を添付する。ここで発行されたバーコードのID(ワークフローID)は、決裁者の承認後、夜間バッチインプットによって未転記伝票とともにSAP ERPに登録される。

一方、紙ベースの書類はCBS(会計承認拠点)に送られ、証憑としてのチェックを受けた後、バーコード付きの台紙とともにスキャニングされる。そして、アーカイブの実行により、証憑イメージがアーカイブサーバに送信されるとともに、ワークフローIDがSAP ERPに登録される。つまり中外製薬の仕組みでは、2通りのルートからワークフローIDがSAP ERPに登録され、これをキーに伝票と証憑のマッチングを実現している。

「Document Accessは柔軟性に優れているので、マッチングのキーについては、他の方法の提案も受けました。ただし、当社では『誰が作成した伝票か』を特定したいという理由から、ワークフローIDをキーとするのが最も適切だと判断しました」(石橋氏)

シェアードサービスの価値を向上し、TCOの削減にも貢献

システム導入後の効果は、確実に表れている。財務経理部門、予算統括部門、監査部門などの各部門では、SAP ERPの伝票からダイレクトに証憑を照会できるようになったため、必要に応じて会計計上の経緯や取引詳細などの情報を担当者自ら確認することで、業務効率が大きく向上したという。

一方、証憑管理を担当するCBS側では、監査などの問い合わせに対応するため証憑の検索や送付に費やしていた時間を、本来の業務に集中することができるようになった。さらにはワークフロー上の会計承認入力が不要となり、業務上の無駄も排除された。現在では中外製薬本社に加えて1,000人規模の子会社における経費精算も集約されており、シェアードサービスのメリットはより多方面に拡大している。

なお、同社では現在、この証憑アーカイブと同様の仕組みを、電子帳簿や発注書にも適用している。監査上必要な直近の重要データだけを最新のサーバに保存し、古いデータについては安全かつ低コストなアーカイブストレージに蓄積。それでもDocument Accessを介することで、保管場所を意識することなく内容が確認できるため、TCOの削減にもつながっている。

「当社では今後、ワークフローの適用範囲を拡大していく方向です。その際に帳票などを管理するための仕組みとして、このソリューションでの経験を十分に活かせると期待しています。さらに将来的には、ワークフロー以外の取引で発生する取引の証憑についてもSAP ERPに紐付けてアーカイブしていくことも検討したいと考えています」(石橋氏)

OpenText Document Access for SAP Solutionsは、中外製薬の基幹システムを支える上でもはや不可欠なツールとなっている。

導入企業プロフィール

中外製薬株式会社

本社:東京都中央区
設立:1925年3月
資本金:729億 6,682万 6,000円(2009年12月31日現在)
事業概要:医療用医薬品の製造・販売・輸出入
http://www.chugai-pharm.co.jp/

パートナー企業

オープンテキスト株式会社
オープンテキスト株式会社

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