成功事例「株式会社エンプラス」

株式会社エンプラス
アジア、米国を含む国内外の14拠点へ
SAP ERPをスピード展開しグローバル競争力の強化を推進
1962年の設立以来、エンジニアリングプラスチックの加工分野で業界トップを走り続ける株式会社エンプラス。同社では激化するグローバル競争を背景に、IT基盤の標準化による意思決定の迅速化を目指し、アクセンチュアの支援のもと、国内外の14拠点に向けたSAP ERPのグローバル展開を進めている。2010年4月の国内拠点に続いて、すでに中国・広州でも稼働が始まっており、今後さらなるスピード展開を図りながら、2010年度末にはアジア、米国を含むすべての海外拠点において、新たな成長基盤を稼働させる計画だ。

グローバル共通の業務基盤で属人的な業務プロセスを解消

酒井 崇氏

酒井 崇氏
株式会社エンプラス
取締役 兼 常務執行役員
経営戦略本部長

エンジニアリングプラスチック事業を核に、オプト、LED関連、半導体機器を加えた4つの事業領域でビジネスを展開する株式会社エンプラス。同社が製造するプラスチック部品や光学部品は、自動車、AV機器、携帯電話、液晶テレビなどの多様な製品に組み込まれ、世界各地から幅広いニーズが寄せられている。
競争が激化する製造業界において、グローバル市場への的確な対応が求められる同社の課題は、ITを中心とした業務の標準化と意思決定の迅速化だった。取締役 兼 常務執行役員 経営戦略本部長の酒井崇氏は、「多くを人手に依存し、属人的に実行する従来の業務スタイルでは、その基盤となるIT環境も個別の業務に合わせて最適化され、長年の改修によってブラックボックス化している状況でした」と振り返る。また、明確な教育プログラムも整備されていなかったことから、これらのノウハウは次世代に継承されることなく、エクセルなどを使った属人的な業務管理が常態化していたという。

さらにグローバル戦略の強化を目指す同社にとって、日本、アジア、米国の各拠点を結ぶ共通の業務基盤の確立は急務の課題だった。

「世界にマーケットを持つ部品製造業の宿命として、この課題は避けて通れません。国内需要の落ち込みとアジアを中心とする海外市場の活性化に伴い、現地企業との円滑な取引を進めていくためには、開発や製造のリーダーシップが海外拠点にシフトしていくのは自然の流れです。こうした背景から、グローバル環境における意思決定を迅速化するためには、IT基盤の共通化が不可欠でした」(酒井氏)

そこで、同社は業務の標準化に基づく意思決定の迅速化とグローバル共通の業務基盤の確立を目指し、基幹システムの全面的な刷新を決断する。

豊富な実績とノウハウにもとづくアクセンチュアのワンストップサービス

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基幹システムの刷新に際して、まずエンプラスでは業務の標準化という観点から、多くの標準機能がサポートされるパッケージ製品の採用方針を決定。同時にアクセンチュアに導入パートナーとしての支援を依頼し、具体的な製品の選定に着手した。パートナー選定のポイントとなったのは、「グローバル対応」と「プロジェクトの上流から下流までの一貫対応」の2点だ。

「国内外に14拠点を構える当社にとって、グローバルビジネスのニーズに応えられる十分な実績とノウハウを備えていることが第一の条件でした。過去のプロジェクトでコンサルティングと開発を別々に依頼したところ、双方のコミュニケーション不足から満足のいく結果が得られなかった経験もあり、世界各地に拠点を持ち、ワンストップ体制でサービスを提供できるアクセンチュアが適任だと判断しました」と酒井氏は明かす。

また、パッケージ製品の選定についても、グローバル標準として評価の高いSAP ERPをベースに、アクセンチュア独自の設計から導入、移行、プロジェクト管理に至るまで様々なノウハウが凝縮された「製造業向けソリューションテンプレート」が提供される点も安心材料となった。経営戦略本部業務改革推進室 スペシャリストの岩井淳一氏は、「製品選定に際して実施したFIT&GAP分析においても、SAP ERPは他社製品と比べてFIT率が高く、採用の決め手となりました」と振り返る。

標準機能をフル活用して国内外の14拠点へスピード展開

プロジェクトは2008年の夏からスタート。綿密な要件定義を経て、2009年2月から4月にかけて標準機能を使った実際の業務プロセスのシミュレーションを行い、現場レベルでパッケージの有効性を確認した。その結果、十分な成果が見込めることが明らかになったことから、開発フェーズへ移行し、テスト、ユーザー教育を経て、2010年4月から日本国内での本稼働が無事スタート。今後は、すでに導入が完了している中国・広州(同年7月稼働)を含めて、上海、ベトナム、タイ、シンガポールへとスピード展開を進め、2010年度中にはすべての海外拠点(アジア8拠点、米国2拠点)への導入を完了させる予定だ。

開発は、アクセンチュアが提供するテンプレートをベースとした標準機能の活用を前提とし、カスタマイズは極力行わない方針で臨んだ。その目的は、世界共通の業務標準を実現するシステム基盤を作ること、短期間で導入し、導入後のアップデートや法対応など、運用・保守の負担を軽減することの2つにあった。

「海外拠点へのスピード展開は経営トップからの強い要請であり、1年間ですべてをやり遂げることを最優先のミッションとしました。また、現場から寄せられるアドオン開発の要望に対しては厳格なジャッジを行い、あくまで標準機能であるべき姿を実現するポリシーを徹底しました」(酒井氏)

最終的にアドオン開発は116本に及んだが、多くはEDIの受発注インターフェースや対外帳票など最低限必要なものであり、特殊な用途でのアドオンは発生していない。

岩井 淳一氏

岩井 淳一氏
株式会社エンプラス
経営戦略本部
業務改革推進室 スペシャリスト

とはいえ、すべての開発がスムーズに進んだわけではない。特に原価計算はエンプラス独自の管理手法とSAP ERPの機能に大きな隔たりがあったことから議論の争点となったが、ここでも業務変革の一貫として、標準機能に業務を合わせる方針が貫かれた。

また、開発ボリュームが予想以上に大きく、稼働直前の3月には開発要員の確保に苦心したという。さらに稼働後の4月以降も、細かな調整作業が続く中、すでに導入作業をスタートしていた広州に多くの人員を投入していたことから、ここでも要員不足が発生した。

「こうした要員の配置についても、アクセンチュアからの的確なサポートによって、当初のスケジュールの中で調整することができました。日本と海外拠点の並行作業には一定のリスクが伴いますが、標準機能を活用するポリシーから外れることがなければ、多少の混乱は生じても業務が止まることはないと信じてプロジェクトに取り組みました」(岩井氏)

グローバル市場におけるSAP ERP活用のモデルケース

アクセンチュアの支援によるSAP ERP導入によって、エンプラスは業務の標準化において短期間のうちに一定の成果を得ることができた。同時期に行われた事業別編成から機能別編成への組織再編によって、部門間の連携が強化された点も、相乗効果につながっている。

一方、SAP ERPの導入によってデータの入力件数が増加したことで、業務部門の負担は増えているが、この点については業務データの精度と一貫性が意思決定の迅速化につながり、長期的なコスト削減や競争力向上といった効果を生み出すことが期待されている。

酒井氏自身も「当初想定していたスピード展開という意味では、スケジュール的な達成度は80%です。しかし、何よりも本社の業務基盤を海外拠点にトレースする体制を構築できたことが最大の成果です」と、経営的な視点から現時点での成果を評価している。

今後は、新たな業務プロセスを内部統制の観点から再検証しながら、さらなる業務の標準化を図っていく計画だという。

「最終的な目標は、個人の判断に依存しない、誰がオペレーションを行っても同じ結果となる業務プロセスを確立することです。それが実現し、すべての海外拠点への展開を終えたとき、本当の意味での業務の標準化が達成できたといえるでしょう」(酒井氏)

スピードを最優先にSAP ERPをグローバル展開し、着実に成果を生み出しつつあるエンプラスの取り組みは、今後グローバル市場における競争力強化、また新規参入を目指す企業にとって、貴重なモデルケースとなるはずだ。

導入企業プロフィール

株式会社エンプラス

本社:埼玉県川口市
設立:1962年2月
資本金:80億8,045万円
事業概要:エンジニアリングプラスチック、オプト、半導体機器、
LED関連各種精密機構部品の開発・製造・販売
http://www.enplas.co.jp/

パートナー企業

アクセンチュア株式会社
アクセンチュア株式会社

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