ビジネスのグローバル展開~基幹システム統合のポイントとは~

ビジネスのグローバル展開
~基幹システム統合のポイントとは~
円高や規制緩和の進展、市場のグローバル化などにより、急速に進む日本企業の海外進出。今や企業規模に関わらず、ビジネスのグローバル展開は避けて通れない状況となっています。それと並行して、ビジネス環境を支える基幹システムをグローバルに統合する動きも加速しています。そこで今回は、海外に多くの拠点を有するNTTデータグループの取り組みを例に、基幹システムのグローバル統合について考察します。

ビジネスのグローバル展開のために

グローバルビジネスが直面する「情報の収集と整合性」

ビジネスのグローバル化を進めるうえで重要な課題として挙げられるのが、ガバナンスと経営の可視性(見える化)を目的とした経営管理基盤の強化です。多くの企業はサービスや販売拠点を拡大していく中で、各拠点でそれぞれシステムを構築し、必要に応じて売上や在庫の情報を本社に送るという仕組みを採用しています。しかし、データの収集に日数を要したり、拠点単位で管理レベルやデータの粒度が異なっていると、収集した情報の整理に手間がかかるため、状況の把握や意思決定のスピードに影響します。また、管理の一元化・プロセスの標準化もいち早くクリアすべき課題です。生産や販売などと会計の情報を統合して可視化し、本社の経営陣が迅速に経営判断を下せる体制を整える必要があります。
長期的な視点では、ITコストも看過できません。個別最適化したシステムを使い続けると、事業規模の拡大とともに運用コストが膨らみ、管理者の負担も増加していきます。高いサービスレベルを低コストで実現するためにはシステムの運用リソースを効率的に、グローバル最適の観点から確保する必要があります。

こうした課題の克服に向け、情報サービス事業の最大手であるNTTデータグループは世界35カ国、145都市におよぶグループ拠点の会計システムをSAP で統合するプロジェクトを進めており、すでに2012年1月からアジア・パシフィック(APAC)エリアにおいて稼働を開始しています。同グループの事例を通して、海外拠点における基幹システム統合のポイントについて探ってみましょう。

管理業務の集約によるガバナンス強化

NTTデータは近年、製造業や流通業向けのシステム支援ビジネスを拡大しています。製造業を中心に顧客のグローバル展開が加速するとともに、海外におけるサポート体制の整備が急務となったため、同社は成長戦略として積極的なM&Aを実施するなど、海外現地企業のグループ化を進めてきました。

さらに同社は、社内における業務改革の一環として管理業務の効率化を目指し、会計、購買、人事などの業務を標準化して集約するシェアードサービス化を推進しています。そのため、海外グループの基幹システムをSAPで統合するとともに、運用にマレーシアのSAPホスティングサービスを利用し、業務オペレーションをインドのBPOセンターで集中的に実施する体制へと転換を図りました。マレーシアのSAPホスティングサービス、インドのBPOセンターはともに顧客用のサービスをNTTデータグループ向けに使用しました。NTTデータ グローバルITサービスカンパニー グローバルSAPビジネス本部の今泉智氏は、基幹システムのグローバル統合について次のように語ります。
「海外グループの業務を集約して見える化し、経営の効率化を促進することが目的です。また、シェアード化によって管理業務を集約することで、運用効率とサービス品質を高めると同時に、一般管理費の削減を目指しています。実現に際しファーストステップとして、IFRS対応も視野に入れ、会計システムの統合に的を絞りました」

NTTデータグループは、アジア・パシフィック(APAC)、欧州、北米、中国の4つの地域に区分されるグローバル拠点から、最初の統合対象をAPACエリアに設定しました。ロールアウトの順序は、拠点の規模、数、業務の煩雑さやビジネス戦略などによって判断が分かれるポイントとなります。
「当グループの場合、欧米は規模の大きな会社が多く、システムや業務の運用体制が確立されているため、標準化やロールアウトに時間がかかります。一方、APACは個社の企業規模が比較的小さく、会計システムもExcelやPCベースの小規模な会計パッケージを導入していた会社がほとんどであり、そのため、システム導入によるガバナンスの強化が喫緊の課題でした。個別の会計システムをSAPで統合することによりデータの信頼性を上げ、改ざんを防ぐとともに、BPOセンターで会計業務を一括管理・運用することでガバナンスを二重に強化することを目指しました。さらに企業文化も日本と近いこともあり、比較的スピーディに導入できると判断しました。」(今泉氏)

≫基幹システムのグローバル統合におけるポイント

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